企業の休廃業・解散、4年ぶり急増 2023年は5万9105件、前年比10%増 「あきらめ廃業」広がり懸念 黒字割合、過去最低51.9%

プレスリリース要約

2023年の休廃業・解散は5万9105件で、前年比10%増加。黒字休廃業は51.9%で過去最低。休廃業企業の経営者年齢は平均70.9歳で、初めて前年から低下。43の都道府県で前年から増加。全業種で増加し、パチンコホールは廃業率6%超え。給付金削減や物価高などの影響で「あきらめ廃業」が増加。自力再建か廃業か、経営判断の重要性が高まる。
<調査結果(要旨)>

  1. 2023年の休廃業・解散は5万9105件、前年比10%増 「あきらめ廃業」広がりの兆し
  2. 「黒字」休廃業の割合、過去最低の51.9% 「資産超過」休廃業の割合も低下
  3. 休廃業企業の経営者年齢、平均70.9歳 初めて前年から低下に転じる
  4. 43の都道府県で前年から「増加」 増加率最高は「徳島県」
  5. 全業種で増加 パチンコホールは廃業率6%超え、士業の廃業も目立つ
  6. 「あきらめ廃業」「前向き廃業」混在の1年に 先を見据えた判断せまられる

■ 帝国データバンクが調査・保有する企業データベースのほか、各種法人データベースを基に集計

■ 「休廃業・解散企業」とは、倒産(法的整理)を除き、特段の手続きを取らずに企業活動が停止した状態の確認(休廃業)、もしくは商業登記等で解散(但し「みなし解散」を除く)を確認した企業の総称

■ 調査時点での休廃業・解散状態を確認したもので、将来的な企業活動の再開を否定するものではない。また、休廃業・解散後に法的整理へ移行した場合は、倒産件数として再集計する場合もある

[注] X年の休廃業・解散率=X年の休廃業・解散件数/(X-1)年12月時点企業数

2023年の休廃業・解散は5万9105件、前年比10%増 「あきらめ廃業」広がりの兆し

2023年に全国で休業・廃業、解散を行った企業(個人事業主を含む、以下「休廃業」)は5万9105件となった。年間で4.03%の企業が市場から退出・消滅した計算になる。23年初旬まで減少傾向が続いた休廃業は夏以降に急増し、16年以降で最少だった22年(5万3426件)からは10.6%の急増となったほか、4年ぶりに前年を上回った。

休廃業した企業の雇用(正社員)は少なくとも累計7万8053人に及び、前年(8万2053人)から4000人減少した。全ての雇用機会が消失したものではないが、約8万人が転退職を迫られた計算となる。消失した売上高は合計2兆8424億円に上った。

2023年に休廃業した企業のうち、「資産超過型休廃業」は62.3%を占めた。また、休廃業する直前期の決算で当期純損益が「黒字」だった割合は51.9%となり、半数超が黒字休廃業だったものの、その割合は過去最低を更新した。この結果、「資産超過」かつ「黒字」状態での休廃業が判明した企業の割合は全体の16.1%となり、16年以降で最も高かったコロナ禍直後の20年(17.0%)に次いで過去5年間で2番目に高い水準だった。総じて23年の休廃業動向は、特に直近の損益が大幅に悪化した企業が多い点が特徴となる。

                 

2023年の休廃業動向は、前年から3割超の急増が見込まれる企業倒産(法的整理)とともに増加した。休廃業はこれまで、持続化給付金や雇用調整助成金など「給付」による手厚い資金繰り支援が功を奏し、コロナ禍の厳しい経営環境下でも抑制された水準で推移してきた。

しかし、2023年に入りこれらの支援策は徐々に縮小されたことに加え、電気代などエネルギー価格をはじめとした物価高、人手不足問題やそれに伴う人件費負担の増加など四重・五重の経営問題が押し寄せた。収益面・財務面で傷ついた中小企業では先送りしてきた「事業継続か否か」の決断を迫られ、さらなる経営悪化に陥る前にやむなく会社を畳んだ「あきらめ廃業」を余儀なくされた中小企業が多く発生した可能性がある。

代表者年代別:休廃業企業の経営者年齢、平均70.9歳 初めて前年から低下に転じる

休廃業時の経営者年齢は、2023年平均で70.9歳となり、3年連続で70歳を超えたものの、22年からは0.1歳低下した。ピーク年齢も74歳と前年から1歳低下し、いずれも前年を下回るのは2016年以降で初めてとなる。

年代別では「70代」が42.6%と4割を超え、全年代で最多だったことは変わらなかった。「60代」以下の割合はいずれも前年から低下し、休廃業動向は代表年齢70歳を境に二極化の傾向が進んでいる。事業承継がスムーズに進まず、後継者へのバトンタッチができないまま代表者の高齢化が進み、休廃業・解散を余儀なくされている可能性がある

                 

地域・都道府県別:43の都道府県で前年から「増加」 増加率最高は「徳島県」

都道府県別の発生状況では、件数ベースで最も多いのは「東京都」の1万3376件で、全国で唯一1万件を超えた。次いで「大阪府」(3849件)、「神奈川県」(3628件)、「愛知県」(3439件)と続き、全国で1000件を超えた都道府県は合わせて14を数えた。総じて、企業数と比例して休廃業数も多い大都市圏の発生が目立つ。最も発生が少なかったのは「鳥取県」(232件)だった。

前年と比較して、休廃業・解散の発生件数が増加した都道府県は43となり、前年(14)から大幅に増加した。このうち、最も増加率が大きいのは「徳島県」(31.4%増)で、全都道府県で唯一3割を超えた。以下、「大分県」(27.2%増)、「富山県」(26.5%増)、「石川県」(23.8%増)と続いた。一方、前年件数を下回ったのは「佐賀県」や「島根県」など4県にとどまり、前年(32)から大きく減少した。

 

発生率を表す「休廃業・解散率」では、最も高いのが「東京都」の6.79%で、全国で唯一6%を超えた。以下、「神奈川県」(4.84%)、「愛知県」(4.61%)、「埼玉県」(4.42%)で、大都市圏で高い傾向が続いた。最も発生率が低いのは「和歌山県」(2.40%)だった。

                 

業種別:全業種で増加 パチンコホールは廃業率6%超え、士業の廃業も目立つ

業種別では全業種で前年から増加した。最も件数が多い「建設業」(7628件)は、前年から10%増加し、過去5年で最多だった。前年からの増加率が最も高いのは「卸売業」の3527件(12.2%増)で、「小売業」(3807件)の11.3%増など5業種で前年比1割超の大幅増加となった。

                 

業種を詳細にみると、前年比で最も増加したのは「税理士事務所」(30件→81件、170.0%増)だった。従前から税理士の高齢化が課題となっていた中で、競争激化による顧問企業の減少、顧問料の低下など経営環境の悪化、インボイス制度の導入など新たな業務のスタートなども影響したとみられる。増加率上位の業種のうち、「書店」(33件→53件、60.6%増)は4年ぶりに50件台に到達した。「中古車小売」(110件→166件、50.9%増)は過去5年で最多だった。半導体不足を発端とする新車不足が発生したコロナ禍初期に比べて中古車需要は一服しているほか、23年に入って中古車業界大手で不正が相次いで発覚したことで販売やアフターサービスの整備入庫にも影響が出るなど、中古車業界に対する顧客の目が厳しくなったことも要因とみられる。前年から最も減少したのは「新聞小売」(73件→52件、28.8%減)だった。

 

2023年の休廃業・解散率では、最も高いのが「パチンコホール」で6.01%となり、前年から急上昇した2022年(4.69%)をさらに上回った。大規模なシステム変更や投資負担を伴う新規則機の導入が重荷となり、廃業を決断した中小ホールも多いとみられる。農作業機器のレンタルや栽培などを手掛ける「穀作サービス」(2.19%→5.36%)のほか、「社労士事務所」(1.28%→5.24%)、「会計事務所」(1.75%→4.97%)など士業事務所でも休廃業・解散率の高さが目立った。

 

「あきらめ廃業」「前向きな廃業」混在の1年に 自力再建か廃業か、先を見据えた判断せまられる

コロナ禍で当初増加するとみられた企業の休廃業は、政府による実質無利子・無担保(ゼロゼロ)融資などの資金繰り支援により、一転して減少傾向を辿った。ただ、物価高に加えて人手不足による人件費の上昇など、引き続き厳しい経営環境に晒されている中小企業は少なくない。資産超過かつ黒字の休廃業割合の増加は、平常時であれば安定した事業継続が可能であるにも関わらず、物価高や人手不足などの深刻化といった経営問題を含めて自社事業の先行きを検討した結果、ダメージが広がる前にやむなく事業をたたむ決断を下した健全企業での休廃業の広がりを映し出している可能性がある。こうした廃業は、後継者問題や事業改革などビジネスモデルに課題を抱えたままの企業や、現時点で経営面に問題がなくても業績回復や「筋肉質」な収益基盤への再構築が遅れた企業に波及することも予想される。

 

一方で、足元では事業再生ガイドラインに基づく「廃業型私的整理」を活用した廃業事例も出始めたほか、「廃業支援型バイアウト」など、廃業を前提とした経営支援を金融機関が後押しする事例も活発化している。業界大手の企業でも廃業を決断するケースが発生しており、事業環境の先行きを見据えた廃業の動きが広がっている。無理に事業を続けて経営資産を目減りさせた結果、廃業のステップを踏むこともできないまま法的整理など「ハードランディング」に至るよりは、予め経営資産を第三者に引き継いだ上で事業を畳む方が望ましいという「前向きな廃業」の考えの浸透も一つの要因として考えられる。

事業継続のために人手不足の解消や後継者の策定といった課題が山積するなかで、「自力再建」か「円満な廃業」か、先を見据えた経営判断を求められる機会が増えるとみられ、2024年の企業における休廃業・解散は高水準で推移する可能性もある。

引用元:PR TIMES

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