世界初 器官再生技術で毛髪再生、歯科治療の分野に新しい治療法を 女性研究者が経営者にキャリアチェンジ

プレスリリース要約

再生医療の研究開発を行う株式会社オーガンテック(東京都中央区)は2023年1月に社名変更して1年を迎えた。代表取締役の小川は再生医療の研究者として多くの患者に新しい治療法を提供したいとの思いを持ち、世界初の器官再生技術を開発した。その技術をもとに毛髪再生や歯科治療の分野で新しい治療法を提供するための取り組みを行っている。2008年の創立から研究を続け、2020年にコロナの影響もあり事業停止を余儀なくされたが、2023年に事業再開を果たした。会社は再生医療向けの製造や販売、研究開発などを行っている。
再生医療の研究開発を通じて、世界の人々の健康と生活の質の向上を目指す株式会社オーガンテック(本社:東京都中央区、代表取締役:小川美帆、近藤嵩、以下「当社」)は、2023年1月1日に株式会社オーガンテクノロジーズから社名変更し1年を迎えました。代表取締役である小川は、再生医療で多くの患者さんに新しい治療法を届けたいと、研究開発を進めてきた研究者です。当社が開発した世界初となる器官再生技術は、病気や傷害によって機能を失った器官・臓器を、生体外で人工的に作製した器官とまるごと置き換える「臓器置換再生医療」です。この技術をもとに、毛髪再生、歯科治療の分野に新しい治療法を提供すべく、日々取り組みを行っています。

■15歳から再生医療の研究者になることを決意
小川が再生医療に興味をもったのは、中学校3年生の理科の授業でクローン羊ドリーの番組を見たことがきっかけでした。一つの体細胞から、全く同じ個体を再生できるという結果は強烈で、生命の不思議、未知への好奇心、神への挑戦と畏怖、いろんな感情で心がわくわくしたのを覚えています。「理科が好き」から、「再生医療」に興味をもち、「研究者」になろうと決めた出来事でした。小川が浪人時代に、東京理科大学で再生医療の研究室を立ち上げた辻孝教授と出会ったことがきっかけで、東京理科大学を受験。2005年より辻教授の研究室に所属し、歯再生の研究に励む日々を送ります。理系に進む女性は少ないと言われがちですが、生物を選択する人は比較的多く30%ほどは女性でした。ただ、生物系は生き物に合わせて実験する機会が多いため、夜遅くまで実験したり、土日も研究室に通ったりと、体力的には辛かったです。

■毛髪と歯の再生医療に事業化の可能性を見出す
 2008年には大塚化学ホールディングスに入社。子会社であり、辻教授が設立した株式会社オーガンテクノロジーズに出向し、ここでも毛髪や歯、唾液腺の再生に関する研究を続けます 1)-3)。2013年、オーガンテクノロジーズの独立を機に入社し直し、毛髪再生の事業化実現に向けて研究開発を進めてきました。

<毛髪の再生医療:組織を培養・増やして「1本を100本」に>
毛髪は、抜けて生えてを繰り返しており、大人になっても作れる器官です。後頭部から毛包を採取し、上皮性幹細胞と毛乳頭細胞の2種類の細胞を増幅し、これらの細胞から再生毛包器官原基を製造します。この独自技術の開発により、1本の毛包を50-100倍に増やすことが可能となります。

<歯の再生医療:噛んだときの食感まで再生できる次世代インプラント>
現在の口腔インプラントは、骨に直接インプラントを埋め込むため、歯周組織がありません。そのため、矯正治療ができない、顎骨成長過程の若年者に適応できない、細菌感染のリスクなど、治療に関わるトラブルが多く報告され、社会的問題になっています。私たちが提案する新しい次世代インプラントは、インプラントの周囲に歯周組織を再現し、歯の生理機能のすべてを再現することが可能となります。

■事業化まであと一歩の段階で突如訪れた「事業停止」
社員も増え、毛髪再生についてヒト臨床を実施する準備が整った2020年の10月に突然、オーガンテクノロジーズはコロナの影響もあり事業停止することになります。2008年の創立から、共に過ごし成長してきた会社が事業停止したことは小川にとって非常に悲しく、また末端の社員で会社の運営を知らされなかった立場だったことが悔しかったです。小川は、なんとか事業を再開できないかと、研究分野に精通している知人や元同僚などに「事業を再開したいので社長になってくれませんか」と声をかけましたが、それぞれのキャリアを歩んでいたため、社長を引き受けてくれる人はいませんでした。そこで、「再生医療の研究開発を通じて、世界の人々の健康と生活の質の向上に貢献する」という自身の夢をかなえるため、そして二度と同じ思いをしないために、小川は自らが代表取締役になることを決断します。

■共同代表との出会いと大手企業からの出資でピンチを乗り越え事業再開を果たす
しかし、いざ経営者になり事業を再開することを決意したものの、研究一筋だった小川にとって、会社の経営は初めてのことばかり。経営に関する本を購入して独学するも、実践とはかけ離れていると感じることが多かったです。研究職との違いを一言で表すなら「経営は人間力」であること。また、知人の経営者からは、自身の考えを言語化することや、長期計画を設計することの大切さなどを学びました。
そんな中、のちに当社の共同代表となる近藤嵩と出会います。近藤は事業やファイナンスに精通していることから安心して事業再開に踏み出せると思いました。また、高い技術力と研究力を有する当社に大きな可能性と期待を感じてくださった小林製薬株式会社から出資をいただき、2023年1月に事業再開を果たすことができました。
振り返ると、分岐点で必ず手を差し伸べてくださる方がいたおかげで、今日まで再生医療の研究者としての道を進んでくることができました。今後は、経営者兼研究者として、本格的に毛髪再生医療、歯の再生(次世代インプラント)の2事業をコア事業として活動を推進します。そして、恩返しの意味を込めて、日本初、世界初の再生医療を成功させ、患者さんに再生医療を届けたいと思っています。

■会社概要
【社名】  株式会社オーガンテック
【設立】  2008年4月21日
【代表】  代表取締役 小川美帆(研究開発担当)
      近藤嵩 (事業・ファイナンス担当)
【住所】  東京都中央区八重洲2-1-1YANMAR TOKYO 12階
【資本金】 10,000,000円
【事業内容】

・再生医療向け医薬品および材料の製造、販売および輸出入
・治療用細胞、組織、器官の受託製造、販売および輸出入
・医療用機械器具、医療用具、産業用機械器具、家庭用機器の製造、販売、輸出入、賃貸借および保守
・移植及び再生医療の研究開発および技術移転
・医療に関連する各種科学的検査および研究開発
【URL】  https://www.organ-tech.jp/

■参考文献
1) Kazuhisa Nakao, Ritsuko Morita, Yasumitsu Saji, Kentaro Ishida, Yusuke Tomita, Miho Ogawa, Masahiro Saitoh, Yasuhiro Tomooka & Takashi Tsuji. The development of a bioengineered organ germ method. Nature Methods. 4, 227-230, 2007.
2) Koh-ei Toyoshima, Kyosuke Asakawa, Naoko Ishibashi, Hiroshi Toki, Miho Ogawa, Tomoko Hasegawa, Tarou Irié, Tetsuhiko Tachikawa, Akio Sato, Akira Takeda, and Takashi Tsuji. Fully functional hair follicle regeneration through the rearrangement of stem cells and their niches. Nature Communications 3(784) 2012.
3) Oshima M, Inoue K, Nakajima K, Tachikawa T, Yamazaki H, Isobe T, Sugawara A, Ogawa M, Tanaka C, Saito M, Kasugai S, Takano-Yamamoto T, Inoue T, Tezuka K, Kuboki T, Yamaguchi A, Tsuji T., Functional tooth restoration by next-generation bio-hybrid implant as a bio-hybrid artificial organ replacement therapy. Sci Rep. 2014.

引用元:PR TIMES

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