株式会社ガルデリア、三井金属竹原製煉所と協業し、ボイラー排ガスを直接利用した微細藻類ガルディエリアの培養試験に成功

プレスリリース要約

広島県の支援を受け、排ガスからCO₂を活用した微細藻類ガルディエリアの光合成培養方式を開発。三井金属竹原製煉所での実証実験成功し、CO₂濃度、酸性度が高まった溶液での光合成培養を達成。この微細藻類は極限環境下での生育能力が高く、排ガスをそのまま活用できる長所を持つ。今後の展望として、排出CO₂の低減、貴金属吸着剤の製造、貴金属回収を目指す。関係機関からの支援も受けており、これまでの取り組みは環境負荷軽減に貢献。それにより、炭素資源の循環社会の実現に向けた取り組みを推進中。また、微細藻類の応用分野にも進出し、地球規模の社会課題の解決に貢献することを目指している。

  • ボイラー排ガスを利用した微細藻類ガルディエリアの培養試験について

当社はカーボンニュートラル達成のため、広島県からの支援を受け現在未利用の熱源であるボイラーの排ガスと、そこに含まれるCO₂を利用した、ガルディエリアの光合成による培養方式の開発を行ってまいりました。

この度、三井金属竹原製煉所との実証実験として、世界でも珍しいボイラー排ガスを直接利用した、微細藻類ガルディエリアの光合成培養を行う事に成功しました。

当社は2023年11月から12月にかけて、三井金属竹原製煉所の工場内設備を利用したガルディエリアの光合成培養実験を行い良好な生育を確認しました。この実験には、竹原製煉所の工程で生じるボイラー排ガスを使用しており、この排ガスには大気濃度の約200倍のCO₂が含まれていました。

硫酸酸性温泉に生息するガルディエリアは、微細藻類の中でも極限環境下での生育能力が非常に高い特性を持っています。今回の実験では、ボイラー排ガスによりCO₂濃度、酸性度が高まった溶液での光合成培養を、大気下よりも高効率で達成しました。

微細藻類の光合成培養においては、培養液中のCO₂量を適度に増やすことにより培養効率を上げることが可能です。しかしながら、純度の高いCO₂を購入して使用することはコスト的に見合わない一方、排ガスを活用する場合には、CO₂以外の成分により成長阻害が起きる可能性がありました。ガルディエリアは、硫酸酸性温泉に棲む極限環境生物としての特性から、高酸性耐性、100%CO₂雰囲気下での生存能力、窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)に対する耐性などを持ち合わせており、CO₂を多く含む一般排ガスをそのまま活用できる長所を有しています。

ガリディエリア:排ガスを活用した培養状況

  • 微細藻類ガルディエリアとは

硫酸性温泉紅藻ガルディエリアは3-16 μmの微細藻類であり、その球状の細胞表面に金(Au)やパラジウム(Pd)などの有価金属を特異的に吸着する性質を有します。また中高温・高濃度CO₂、低pHの過酷な環境においても培養が可能な極限環境生物です。

  • 今後の展望

一般に、微細藻類の本格的な排ガス活用培養の事例は非常に少なく、当社が知りうる限り、実用段階に達した例は存在しません。当社は今回の実験成功を受け、実用スケールでの培養に繋げ、三井金属竹原製煉所での排出CO₂の低減につなげていきます。

更に、培養したガルディエリアを活用し、当社技術を用いた貴金属吸着剤を製造し、三井金属竹原製煉所の貴金属リサイクル工程で活用することで、これまでのプロセスは回収できなかった、排水中の微量の貴金属回収も同時に実現していきます。

三井金属竹原製煉所様との協業:今後の展望

  • 関係組織様からのコメント

広島県庁商工労働局イノベーション推進チーム様

ガルデリア様と三井金属竹原製煉所様との実験結果の報告を受け、大変大きな成果だと改めて認識すると共に今後も大きな期待を寄せております。

本県では、炭素資源が持続的に循環する社会経済「カーボン・サーキュラ―・エコノミー」の実現に向け、2022年に「広島県カーボン・サーキュラ―・エコノミー推進構想」を策定し、カーボンリサイクル関連技術の実証研究の強化と「拠点化」、カーボンリサイクルを核とした新たな産業集積を目指しています。

具体の取組として、カーボンリサイクルの研究に係る独自の補助制度「HIROSHIMA CARBON CIRCULAR PROJECT」を2022年度から開始し、ガルデリア様と三井金属鉱業株式会社竹原製煉所様の取組を支援させていただいております。

今回の培養試験成功は、カーボンリサイクル技術の発展と県内企業のCO₂排出削減につながる素晴らしい結果であると考えており、今後のスケールアップを含めた更なる技術開発に期待しております。

三井金属鉱業株式会社 金属事業本部 技術統括部中山様

小さな一歩ではありますが、今回の結果に満足しています。

当社はガルデリア様と共同で微細藻類を用いた自社排ガスのCO₂固定化実験を実施してきました。

当社は環境負荷軽減の取組を経営の最重要課題のひとつと位置づけており、これまでも循環型社会の実現に向けてリサイクル原料の増処理と廃棄物、水汚染、プラスチック利用量などの環境負荷削減に取り組んできました。

今回は新たに当社工場から排出されるボイラー排ガスに含まれる廃熱とCO₂を用いて微細藻類の培養に成功しました。

ガルデリア様の微細藻類は貴金属を吸着する特性を持つため、当社でリサイクル原料から貴金属を回収する工程から出ている排液に微量に含まれる貴金属を、この微細藻類で回収する事ができれば回収率の向上が期待でき、まさに資源循環に資する事例になると考えております。

 当社は今後もガルデリア様との共同開発および、ガルデリアを用いた貴金属回収までも視野に環境負荷軽減の取組を推進していきたいと考えております。

  • 株式会社ガルデリアについて

ガルデリアは、温泉に棲む微細藻類Galdieria の研究開発を通じて、地球規模の社会課題の解決に取り組んでいます。他の微細藻類と比しても圧倒的に効率の良い培養能力、極限環境下で生き残る中で身につけた貴金属吸着能力を活用し、都市鉱山での安全かつ高効率な貴金属リサイクル、天然鉱山で未だに使われている水銀の代替、良質な内容成分の食品応用、CO₂削減を通じて、循環経済の実現、地球環境の改善、食糧問題の解決に繋げていきます。

会社名   株式会社ガルデリア

代表       代表取締役CEO 谷本 肇

本社所在地    〒103-0007 東京都中央区日本橋浜町2-4-2-709

鶴見ラボ     〒230-0046 横浜市鶴見区小野町75番地1 リーディングベンチャープラザ2号館106号室

資本金   2億6,944万9,295円

設立日   2015年10月1日

URL       https://galdieria.com/

事業内容             

硫酸性温泉紅藻 Galdieria等の微細藻類の生産、研究開発

Galdieriaによる貴金属、レアメタル、その他金属の回収技術の開発、吸着剤製造

微細藻類の色素等代謝物の生産、化粧品、食品への応用に関する研究開発

植物、微細藻類の環境関連技術開発

その他バイオテクノロジー関連ビジネスの事業開発

お問い合わせ https://galdieria.com/contact/

引用元:PR TIMES

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