米国Neuroscience 2023における学術発表~音刺激によってヒトの脳にガンマ波が同期されることを確認~
プレスリリース要約
ピクシーダストテクノロジーズ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役:落合 陽一、村上 泰一郎、以下「PxDT」)は、米国の脳神経科学に関する学会であるSociety for Neuroscience(北米神経科学学会)主催の学術発表会「Neuroscicence 2023(2023年11月11日~15日、ワシントンD.C.およびバーチャルのハイブリッド開催)」において、「音刺激による脳活性化および認知機能改善」に向けた共同研究に関する基本合意書を締結している※1塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役会長兼社長CEO:手代木 功、以下「塩野義製薬社」)と共同で開発した「特定の処理を施した音を聴取した際に、ヒトの脳波の一種である40Hzのガンマ波が同期されることを確認した研究結果」について発表をおこないました※2のでお知らせいたします。
Neuroscicence 2023は、脳神経科学に関する世界で最大の学術発表会のひとつです。このたび発表した研究は、当社と塩野義製薬社、および国立の研究機関である産業技術総合研究所(東京本部:東京都千代田区、理事長:石村 和彦)との共同研究として進めてまいりました。
これまでの先行研究で、認知症患者ではガンマ波が低下していることなどが報告されています※3。また、40Hzの感覚刺激(音や光)の呈示によって脳内のガンマ波を同期させることで、認知機能低下や脳容積の縮小の抑制などが期待できる報告なども成されています※4,5。
今回Neuroscience 2023にて発表した研究では、元の音源を振幅変調した音を実験参加者に聴取させ、脳活動を計測した結果、40Hzパルス音に加えて、全ての40Hz振幅変調音(正弦波変調、ノコギリ波変調、逆ノコギリ波変調)の聴取によって、ガンマ波が統計的に有意に強く同期されることが確認されました。パルス音だけではなく、振幅変調音によってガンマ波が同期されることを示したこの結果は、脳波同期を目的として変調対象音を任意に選択することができる可能性を示唆しており、日常生活における認知症予防の臨床応用に役立つ可能性があることを期待させる結果です。
PxDTは塩野義製薬社と「生活に溶け込む認知機能ケア」という共通コンセプトに基づいた共同研究を進める中で、認知機能ケアに繋がる可能性のある「ガンマ波サウンド」を共同で開発しています。両社は「音刺激による脳活性化および認知機能改善」に向けたさらなるエビデンス構築を行いつつ、日常生活の中での認知症予防や認知機能の改善が可能な社会の実現に取り組むことで、患者さまや社会の抱える困り事の解決に向けた新たなソリューションの提供に引き続き取り組んでまいります。
- 参考
※1. 2022年6月21日プレスリリース:https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2022/6/20220621.html
音刺激による脳活性化および認知機能改善に向けた共同研究に関する 塩野義製薬とピクシーダストテクノロジーズによる基本合意書の締結について~「生活に溶け込んだ認知症ケア」サービスの提供に向けて~
※2. Y. Nagatani, K. Takazawa, K. Maeda, A. Kambara, Y. Soeta, and K. Ogawa, “Phase lock of gamma wave by aurally presenting tones amplitude-modulated at 40 Hz,” Neuroscience 2023 Abstracts, PSTR388.26/C44 (2023).
※3. C. S.Herrmann, and T. Demiralp. “Human EEG gamma oscillations in neuropsychiatric disorders,” Clinical Neurophysiology 116, 2719–2733 (2005).
※4. A. J. Martorell et al., “Multi-sensory Gamma Stimulation Ameliorates Alzheimer’s-Associated Pathology and Improves Cognition,” Cell 177, 256-271.e22 (2019).
※5. D. Chan et al., “Gamma frequency sensory stimulation in mild probable Alzheimer’s dementia patients: Results of feasibility and pilot studies,” PLOS ONE 17, e0278412 (2022).
- 本件に関するお問い合わせ
ピクシーダストテクノロジーズ株式会社 広報担当
引用元:PR TIMES