日本A2ミルク協会 認証制度の構築に向けた監査委員会を設立 安心安全なA2ミルクの普及を目指し日本初の品質管理基準を発表

プレスリリース要約

日本A2ミルク協会は、A2ミルクの品質基準が不明確であることを課題とし、信頼のおけるA2ミルクの供給を目指して体制を整備している。協会はA2ミルク認証制度を設立し、日本初の検査キットを共同開発し、A2ミルクの検査体制およびA2認証基準の確立を進めている。認証制度は、生産から輸送、加工までの一貫した品質管理基準を監修のもと実施し、商品に認証マークを付与する。A2ミルクは消費者の健康志向に応え、A1とA2を明確に区分けすることで信頼性を提供する。 A2ミルクは、A2タイプのベータカゼインのみを含むため、消化不良や乳糖不耐症状を緩和するとされ、健康志向の消費者に注目されている。

画像:日本A2協会認証制度の基準を満たす商品に付与される認証マーク

日本におけるA2ミルクへの関心の広がりがみられるなか、全国での需給への期待が高まりつつあります。安心安全なA2ミルクを消費者の皆様にお届けしていくための仕組みの構築が求められる一方、日本のA2ミルクにおける品質基準が定められていないことが課題となっていました。

この課題が浮き彫りとなった背景として、海外を中心に報告されているA2ミルク以外のミルクが含まれる類似商品が流通した事例があげられます。一例として、2021年にフードリサーチインターナショナルで査読論文として発表された「電点集光法とPCR法を用いたA2ミルクの認証」でのオーストリアにおける偽装事例があげられます(*1)。この事例ではA2ミルクとして発売された商品の一部からA1ベータカゼインが検出されたことや、A1牛が混在する牛群からA2ミルクが出荷されたことなどが学術的な知見から検証されており、その対策として、牛の遺伝子検査をするとともに、市販のA2ミルクの審査を公的な検査機関が管理すべきであると示されていました。

これらを踏まえ、日本A2ミルク協会は信頼のおけるA2ミルクの商品供給を目指し、共同研究開発や品質管理基準の構築に向けた体制づくりを進めてまいりました。昨年8月のA2牛個体登録システムのリリースに続き、東京農業大学ならびに重井医学研究所と共に日本A2ミルク協会が共同開発した日本初の検査キッド、ともなうA2ミルクの検査体制およびA2認証基準を確立していくための研究開発の最終調整を終えました。

そしてこの度、日本初となるA2ミルクの認証制度を今年設立し、2月より試験運用を開始、3月上旬からの正式運用の実現とともに日本A2協会牛乳の発売を予定しています。また認証制度の運用上欠かせない品質管理基準を担保していくための監査機関としてA2ミルク認証監査委員会を設立し、より一層高い水準での品質管理体制の実現に向けた取り組みを進めております。

■日本A2ミルク協会認証制度の概要

この度発表する認証制度は、A2ミルクの商品を対象に実施するものとなり、生産から輸送、加工時まで一貫した品質管理基準を担保することを目指し、トレーサビリティの観点から学術的な監修のもと構築されました。定期的な監査を実施し、一定の基準を満たした場合に限り、商品に対する認証マークが付与されます。またこれらの基準を満たした日本A2協会牛乳の商品化も3月上旬に予定しています。

・牧場自体の監査(運営管理体制、認証基準など含め)

・乳牛の遺伝子検査(体毛、体組織など)と協会への登録

・生乳(牧場で搾乳された未殺菌状態の牛乳)の検査

・牛乳(生乳を殺菌した後、牛乳として流通した段階)の検査

・継続的な検査(一度きりだけでなく検査が継続されているのか)

・輸送時や加工時の混入がないシステムであることを監査

この度の発表に際して、A2ミルク認証監査委員会は次のように述べています。「この度、日本で唯一の仕組みとして発表するA2ミルクの認証制度は、学術的な知見のもと、ゆるぎない品質管理体制を築くことにより、A1とA2を明確に区分けすることを大前提としています。日本A2ミルク協会が設立した委員会である一方、独立性や公平性をしっかりと担保した上で、一貫した体制のもと実施される日本では前例がみられない新しい認証基準であり、消費者の皆様への信頼性につながる情報提供として貢献すべきものであると考えております。」

■日本A2ミルク協会について

日本A2ミルク協会(https://www.japan-a2milk-association.or.jp/)は、2020年の設立以来、日本酪農乳業界のさらなる発展のもと、より健康を求める消費者への価値提供と選択肢を増やし、日本社会、酪農乳業界に貢献していくことを使命としています。生産者(酪農家)、乳業メーカー等の関係者、消費者、研究機関、大学等の関係者を含めた総合的な専門家による情報交換を通じて、専門的な知見をもとに、セミナー・講演やウェブサイト、メディア等によるA2ミルクの正しい情報の普及活動に取り組んでいます。

日本国内のA2ミルク商品の販売先

https://www.japan-a2milk-association.or.jp/store/

新規会員様募集について

https://www.japan-a2milk-association.or.jp/regist/

■おなかに優しい牛乳として注目が高まる「A2ミルク」

A2ミルクがおなかに優しい牛乳(*2)と呼ばれる理由は、人の母乳がA2ミルクと同じ型であること、そして乳糖不耐症状が緩和されることからとも言えます。小さなお子様がいらっしゃるご家庭や、健康志向への関心が高い消費者に向けて、新しい健康習慣のために注目されているのがこのA2ミルクです。

牛乳を飲むとおなかがゴロゴロする要因とされているのが、タンパク質「ベータカゼイン」。このタンパク質を持つ牛の遺伝子は、A1型とA2型の2つのタイプがあり、A1型の遺伝子が消化不良を起こすとされています。A2ミルクは、この乳中の「ベータカゼイン」がA2型のみであることが特徴です。A1型とA2型の違いは、中に含まれる209個のアミノ酸連鎖の67番目のポジションがA2の場合「プロリン」、A1の場合は「ヒスチジン」となり、この違いが消化過程において違いを生みます。昨今の研究成果により、この違いが様々な箇所に作用し、体質によっては継続的な摂取による自己免疫疾患などを引き起こす原因物質となることが示唆されており、さらには乳糖不耐症状が緩和されることが明らかになりました。(*3)

*1 “A2 milk” authentication using isoelectric focusing and different PCR techniques. Helmut K. Mayer, Kathrin Lenz , Eva-Maria Halbauer Department of Food Science and Technology, Food Chemistry Laboratory, BOKU – University of Natural Resources and Life Sciences Vienna, Muthgasse 11, A-1190 Vienna, Austria

*2 Nutrients. 2020 Dec 17;12(12):3855. doi: 10.3390/nu12123855. Milk Containing A2 β-Casein ONLY, as a Single Meal, Causes Fewer Symptoms of Lactose Intolerance than Milk Containing A1 and A2 β-Caseins in Subjects with Lactose Maldigestion and Intolerance: A Randomized, Double-Blind, Crossover Trial. https://www.mdpi.com/2072-6643/12/12/3855

*3 Brooke-Taylor S, Dwyer K, Woodford K, Kost N (2017). Systematic Review of the Gastrointestinal Effects of A1 Compared with A2 β-Casein. Advances in Nutrition. 8(5):739-748. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2161831322008067?via%3Dihub

引用元:PR TIMES

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