「オペラの子ども食堂」を地方でも行いたい
プレスリリース要約
二期会BLOCポケットオペラ(代表 冨田真理)は東京二期会所属のオペラ歌手により、2017年4月に誕生した社会貢献グループです。地域社会の音楽芸術、とりわけ小規模オペラの普及を目的とし、「あなたのポケットにオペラを」をコンセプトに、皆様の身近に低料金で高品質な演奏をお届けしてまいりました。
- 「オペラの子ども食堂」とは
2023年のApril Dreamで私たちは「オペラの子ども食堂」のような場を作ることを夢として発信しました。私たちが考える「オペラの子ども食堂」とは、どんな人でもそこに行けばオペラが楽しめ、オペラを介して人とつながることができる場のことです。
私たちが約7年を費やして作り上げたオリジナル訳詞によるオペラ『ヘンゼルとグレーテル』(フンパーディンク作曲)は子どもが合唱で出演するオペラです。その上演までのプロセスと出演を通して「オペラの子ども食堂」のよいうな場の実現を目指し、それを全国10か所で上演することを目標として掲げました。
- 実現の第一歩は子どもたちの公募から
私たちは合唱を担う子どもたちを公募することとしました。それはどんな人でもオペラが楽しめる「オペラの子ども食堂」では音楽経験や舞台経験は問わないからです。しかしそれは上演までの道のりをより難しくするものでもありました。なぜなら、一緒に公演を作り上げるコミュニティづくりからはじめるゼロからのスタートになるからです。
オペラの上演には多くの人がかかわり、細かなルールのもとに行動しています。チームワークが欠かせない営みなのです。子どもたちには公演に出演するための練習や稽古をするだけではなく、見ず知らずの共演者(大人も子どもも)をお互いに知り、オペラの稽古や本番がどのように行われているのかを知ってもらう必要がありました。私たちはコミュニティの形成をワークショップの手法を用いて行うことにしました。
ワークショップは2つのコースが設けられました。
オペラの歴史や音楽の構成要素、そして『ヘンゼルとグレーテル』の作品について、体を動かして実際に体験しながら学び、自分たちのオリジナルの『ヘンゼルとグレーテル』を作る「オペラ・ワークショップ」と、合唱を通して歌唱表現を学ぶ「合唱ワークショップ」です。
このワークショップは独立行政法人国立青少年教育振興機構 子どもゆめ基金の助成を得ることで実現できました。演奏団体である私たちが教育事業に本格的に取り組む初めての試みでもありました。
- ワークショップを通して見られた子どもたちの変化
ワークショップでは東京を中心に、千葉、埼玉、神奈川から総勢26名の子どもたちが集まりました。最初はもじもじしていた子どもたちも、音と体を使ったワークを通して、音楽と音楽家そして一緒にオペラを作り上げていく仲間と次第に打ち解けていきました。
ファシリテーターは子どもたちの中にある音楽を引き出し、問いかけることで音楽だけでなく言葉や体で表現することを促していきました。
音を使ったワークの中で子どもたちの中から自然と一つのリズムが生まれました。誰かがそれに「タン・タン・メン」と歌詞をつけて口ずさんだところ、それが全員に拡がり「タン・タン・メン」の大合唱が稽古場に響き渡りました。そのリズムとワークショップを通して子どもたちが行っていた動きを組み合わせたダンスを、実際のオペラで子どもたちが登場するシーンに取り入れることにしました。これを「タン・タン・メン・ダンス」と名付けました。
最初は恥ずかしがっていた子どもたちでしたが、ファシリテーターが問いかけを繰り返すことにより、次第に自分たちでダンスを改良していきました。
この繰り返しの中で大きな変化が訪れました。本番間近のリハーサル終了後に、よりよいパフォーマンスのためにどういう動きをしたらいいのか、自発的に話し合いの場を持ち改善をし始めたのです。周りの大人たちはそれらを黙って見守っていました。
- 皆で作り上げるもの、それがオペラ
先述のとおり、オペラには多くの方が関わり、様々なルールに則って進めていきます。ワークショップの一番最初にそのことをワークを通して知った子どもたちも、いざ現場でそのような場面に出くわすとルールが守れないこともありました。次第に子どもたちの中で役割が生まれ、助け合う姿も見られるようになりました。本番が間近に迫る中で音楽家や演出家が、ワークショップの時に見せていた表情から一人のアーティストの表情になっていく様子を子どもたちなりに感じ取っていたのかもしれません。
- いよいよ本番
最初は満席のお客様を前に子どもたちは緊張したようですが、最後は本番を楽しんでいました。
- この取り組みで提供できたこと
後日、参加した子どもたちから様々な感想が寄せられました。
・オペラが楽しかった
・みんなと歌うことが楽しかった
・友達になれた
・夏休みの自由研究としてオペラについてまとめた
・セリフや演技が楽しかった
・みんなと協力して成功することをまたやりたい
・今度は難しいことにも挑戦したい
・初めてオペラ歌手の声を聴けた
保護者の皆さんからも感想をお寄せいただきました。
・ワークショップ以来、家でもずーっと歌っています
・鼻歌の音域が広くなった
・いまだにタン・タン・メンと言っています
・楽しすぎたと言っています
・オペラに出た後、わが子の成長を感じました
・次ぎが待てずに明日も行きたいと言っています
これらの声に私たちが目指した「そこに行けばオペラが楽しめ、オペラを介して人とつながることができる場である『オペラの子ども食堂』」のような場に、少し近づけたのではないかと思いました。数年にわたるパンデミックの影響で体験する機会が乏しかった子どもたちにとって思い出に残る機会であったと手ごたえを感じています。
- 今後に向けて
この取り組みを東京だけでなく様々な地域で行っていきたいと考えています。また、『ヘンゼルとグレーテル』だけでなく、他の演目でも子どもたちが音楽家と一緒になって作り上げるオペラを提供していきたいと思います。
また、1月1日に発生した能登半島地震の被災地のように、すぐにはそれが難しい地域もあると思います。私たちはできる支援をと考え、急遽チャリティ・コンサートを行うことといたしました。入場料の一部を公益社団法人日本ユネスコ協会連盟「災害子ども教育支援募金」を通して被災した子どもたちの支援活動に寄付させていただきます。
私たちは子どもたちへの学習支援は長期にわたって必要なものだと考えています。入場者数に応じて寄付金額が増えますので、多くの皆様にご来場いただきたいと思っています。
二期会BLOCポケットオペラPresents 能登半島地震 復興支援 チャリティ・コンサート
2024年6月8日(土)13:30開場/14:00開演
野方区民ホール
東京都中野区野方五丁目3番1号(野方WIZ地下2階)
西武新宿線野方駅南口から徒歩3分
全席自由 3,000円
(入場料の一部を公益社団法人日本ユネスコ協会連盟「災害子ども教育支援募金」を通して被災した子どもたちの支援活動に寄付させていただきます)
出演者、または下記よりお申込みください。
https://forms.gle/SwK29iaaZc8iy7Ar5
出演
ソプラノ 伊丹千恵 角南有紀 冨田真理 福田美樹子 本田ゆりこ 真野綾子 村田ゆう子
メゾソプラノ 池野博子 武田美保
ピアノ 平川寿乃
プログラム
歌劇『コジ・ファン・トゥッテ』より “岩のように動かず”
歌劇『ディノラ』より “影の歌”
歌劇『アンナ・ボレーナ』より “私の生まれたあのお城”
歌劇『運命の力』より “神よ、平和を与えたまえ”
歌劇『ロミオとジュリエット』より “私は夢に生きたい” “ああ、なんという戦慄が”
歌劇『ホフマン物語』より “生垣には、小鳥たち” (オランピアの歌)
歌劇『カルメン』より “ハバネラ”
歌劇『アドリアーナ・ルクヴルール』より “苦い喜び、甘い責め苦を”
ほか
主催:二期会BLOCポケットオペラ
後援:公益財団法人東京二期会
私たちはこれからもオペラで社会に貢献していきます。
オペラの上演など、お問い合わせは下記にお願いいたします。
二期会BLOCポケットオペラ
[email protected]
「April Dream」は、4月1日に企業がやがて叶えたい夢を発信する、PR TIMESによるプロジェクトです。
私たちはこの夢の実現を本気で目指しています。
引用元:PR TIMES