野良猫への餌やり禁止条項に反対!沖縄県知事、沖縄県議会議長に要望書と署名28,480筆を提出

プレスリリース要約

公益財団法人どうぶつ基金は、沖縄県動物の愛護及び管理に関する条例(案)から第13条の削除を求める要望書を提出した。この条項は餌やり禁止を規定しており、野良猫問題の解決には繁殖制限手術が必要と主張している。現在の行政の不作為により、野良猫問題が解決されていないと指摘し、条例の削除を求めている。

公益財団法人どうぶつ基金(以下「どうぶつ基金」)は、2024年1月23日付で沖縄県知事と沖縄県議会議長あてに「沖縄県動物の愛護及び管理に関する条例(案)」から第13条の削除を求める要望書とオンライン署名25,750筆、自筆署名2,730筆(うち58筆は他の都道府県在住者によるもの)を一次提出いたしました。

第13条 何人も、飼い主のいない猫に対し、県又は市町村が定める方法によらず、給餌又は給水を行ってはならない。

というこの条項は、具体的な餌やり禁止の条件が「県又は市町村が定める方法によらず」としか示されておらず、その方法以外では飢餓状態の野良猫に対して給餌や給水を禁止するというものです。

野良猫が増える原因は餌やりではありません。

第一の原因は猫を遺棄すること。

第二の原因は猫に繁殖制限手術を施さないこと。

増えてしまった野良猫の問題を解決する唯一の方法は、給餌給水の制限ではなく繁殖制限手術を迅速に実施することです。にもかかわらず、沖縄県行政が2022年度に行った飼い主不明猫や地域猫に対する無料不妊手術はたった42頭、過去10年間で見てもたった235頭です。

沖縄県の現状は「猫を遺棄した者」を取り締まらず、行政による野良猫や地域猫に対する無料不妊手術もほとんど実施せず、多数の猫の不妊手術を実施できる体制も構築してこなかった無責任な行政の不作為の結果に他なりません。

沖縄県知事および沖縄県議会議長には、「沖縄県動物の愛護及び管理に関する条例(案)」から第13条の削除を求める私たちの要望を真摯に受け止め行動することを求めます。

以下、要望書全文

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2024年1月23日

沖縄県動物の愛護及び管理に関する条例(案)から第1 3条の削除を求める要望

以下、連名にて要望書を提出いたします。

公益財団法人どうぶつ基金 理事長 佐上邦久、獣医師 黒澤泰、弁護士朝隈朱絵、一般社団法人琉球わんにゃんゆいまーる、沖縄野良猫TNRプロジェクト、NPO法人ゴールゼロ、特定非営利活動法人SCAT/アニマル&ヒューマンウエルフェア、大阪さくらねこの会、 一般社団法人ねこかつ

(賛同者一覧)

岸和田市議会議員 たかひら正明 、一般社団法人ラブドネイション、一般社団法人ArrowZ 、  全世界の犬猫の殺処分を廃止にする会、NPO法人ねこと人と地域のいのちをつなぐ会 、NPO法人ひげとしっぽ、特定非営利活動法人ねこハピ 、 NPO法人ねこのわNara

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沖縄県知事 玉城デニー 殿

沖縄県議会議長 赤嶺昇 殿

公益財団法人どうぶつ基金

理事長 佐上邦久

要望の趣旨

沖縄県動物の愛護及び管理に関する条例(案)から、「何人も、飼い主のいない猫に対し、県又は市町村が定める方法によらず、給餌又は給水を行ってはならない。」と定める第1 3条(ノラ猫への餌やり禁止条項。以下

「本条項案」といいます。)を削除することを要望します。

要望の理由

第1  条例制定権の範囲を超えること

本条項案には以下の法律上の問題があることから、法律の範囲内で条例制定権を定めた地方自治法1  4条1項に反するものとして、制定できないものと思料いたします。

本条項案の問題として、まず、本条例の制定時点において、「県又は市町村が定める方法」として例外的に許されるとされる給餌又は給水の具体的内容が不明であり、どのような方法が規制の対象となるのかがわかりません。本条項案については、違反者に対する刑罰が定められていないことから、刑罰法規の明確性の原則(憲法31条)そのものが問題となるわけではないものの、条例で違法行為として禁止するのであれば、規制される行為が具体的に明確にされなければなりません。

 また、本条項案によれば、飼い主のいない猫に対する給餌又は給水の方法は、許される行為か違法行為かを区別する重要な事項であると ころ、「県又は市町村が定める方法」について、本条例案には何ら基準が示されていません。実質的に自治体行政に対する白紙委任であり、立法による行政の原則に反しています。

 さらに、「県又は市町村が定める方法」について、要件を厳格に規定すれば、実質的に飼い主のいない猫に対する給餌又は給水をおよそ禁止することも可能となります。しかしながら、動物愛護管理法において命あるものと規定され(同法第2条)、愛護動物として刑罰をもって虐待等から守られている(同法第44条)猫の命を軽視するものであり、同法に違反するものです。

本条例は、1条において、「県民の動物の愛護に関する意識の高揚を図る」ことを目的の1つとし、また、4条において、「動物の愛護についての理解を深める」ことを県民の責務としているところ、飼い主のいない猫に対する給餌給水を原則禁止することを内容とする本条項案は、本条例の目的等とも矛盾するものといえます。

第2  その他本条項案を削除すべき具体的理由

【野良猫問題は皆で一丸となって取組むべき社会的課題です】

所有者のいない猫、いわゆる野良猫の対策は、地域の環境問題、公衆  衛生、あるいは特定の地域においては希少種保全といった重要な社会的課題として、当該地域の住民が一丸となって取り組むべきといえます。しかしながら、野良猫への給餌給水それ自体に法的規制を設けることは、「猫好きvs猫嫌い」といった人と人との対立をこれまで以上に引き起こし、地域住民の分断を招くおそれがあります。

また、「国民の間に動物を愛護する気風を醸成し、生命尊重、友愛、及び平和の情操を涵養すること」「人と動物の共生する社会の実現を図ること」といった動物愛護管理法第1条に定める目的を阻害しかねません。

【現行法での対応が可能】

撒き餌や置き餌など周辺の生活環境を悪化させる給餌行為に対しては、動物愛護管理法第25条に定める「動物の飼養、保管又は給餌若しくは給水に起因した騒音又は悪臭の発生、動物の毛の飛散、多数の昆虫の発生等によって周辺の生活環境が損なわれている事態」に該当する場合は、都道府県知事は必要な指導又は助言(同条1項。なお、本条例案    9条も同趣旨といえます)、勧告(同2項)、命令(3項)をすることができます。命令違反をした者には50万円以下の罰金(同46条の2)という刑罰も定められ、既に強力な法規制が存在します。

また、生活環境の保全や公衆衛生の向上を阻害する悪質事例に対しては、廃棄物の不法投棄として、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」で対応すべき問題ともいえます。

そして、生活環境の悪化の原因は飼い主のいない猫に限ったことではありません。にもかかわらず、このような野良猫に特化した条例を制定することは、飼い主のいない猫を住環境を悪化させる悪者として殊更に印象付け、排除する意図を表徴しており、動物愛護の良俗に反するものです。

【野良猫が増える原因と減らす方法】

野良猫が増える原因は、餌やりにあるのではなく、第一に猫を遺棄することであり、第二に猫に繁殖制限措置としての不妊去勢手術を施さないことです。

現実に増えてしまった野良猫問題の解決方法は、給餌又は給水の制限ではなく、唯一、繁殖制限手術を迅速に実施することです。

しかしながら、2 0 2 2年に行った飼い主不明猫や地域猫に対する無料不妊手術の件数は、当基金5240頭に対し、沖縄県は35頭にすぎません。

沖縄県の現状は、猫を遺棄した者を適正に取り締まらず、野良猫の対策として行政による無料不妊手術をほとんど実施せず、また、多頭の猫の手術を実施できる体制も構築してこなかった無責任な行政の不作為の結果と言わざるを得ません。

【教育的側面への悪影響】

本条項案が成立 施行された場合、例えば小さく弱き者に思いやりの 心を持った子供が、お腹を空かせてやせ細っている野良猫にえさを与える行為も、条例で禁止された違法行為であるとされる可能性があります。

弱者に手を差し伸べる素朴な優しい気持ちが非難される状況は、果たして、未来を担う子供たちに胸を張って誇れるものでしょうか。

【観光資源への打撃】

世界中から多くの観光客が来訪する沖縄県ですが、素朴で温かい沖縄に住む人との触れ合いもダイナミックな景観と並ぶ大きな魅力です。しかしながら、本条項案が施行された場合、観光客がやせ細った野良猫にエサを与える行為も違法と非難され、衰弱した猫を放置する沖縄県という風評が立ち、人心とイメージに悪影響を与えることが懸念されます。このような評判が広まれば、「気温は高いが、弱者や動物に冷たい沖縄」というイメージが広がり、観光業に大きな打撃を与える可能性があります。

第3  まとめ

以上の理由により、沖縄県動物愛護及び管理に関する条例(案)第13条の削除を要望します。

以上

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どうぶつ基金は、引き続き、大きな問題のある第13条の削除を求めてあきらめることなく働きかけを行ってまいります。

引用元:PR TIMES

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