R3 Cordaで金融と産業を近づけるビジネスソリューションを発表
『Traceability as a Service』は、組織の大小を問わず需要に合わせた業務効率の最適化を支援する分散台帳型ビジネスソリューションです。11月からのサービス提供に先駆けて、2019年10月23日・24日にイギリス・ロンドンで開催されたCordaCon 2019では、サプライチェーンでの導入を想定したデモンストレーションを披露しました。
『Traceability as a Service』を導入することで、従来のシステムでは難しかったリアルタイム性の高い革新的なワークフローを実現します。
当システムを導入することで効果が期待される領域の一つであるサプライチェーンでは、参加する生産者、製造会社、メーカー、商社、認証機関、輸送会社、倉庫、貿易会社、小売店など各組織ごとに、生産計画や輸送計画、在庫計画が別々に計画・管理されていることが多いです。さらに、製造に関わる企業の組織内では、ロット番号が複雑化するため、統制の取れていない組織においては需要の増加に伴って作業ミスにつながる恐れがあります。そのため、急激な需要変化が起きた場合や、製品規格の変化が起きた場合、統括する部署を新設するなど人為的な回避策を実施するため、サプライチェーン全体の動きに大きな負荷が掛かります。このような問題が多くの組織で起きているのが現状です。
『Traceability as a Service』の導入によって、組織の大小を問わずサプライチェーンごとに独自のネットワークを形成して生産管理にかかわる全ての情報の取引が可能となるため、組織間あるいは組織内においての担当者間で連携が必要な業務の負担を大幅に軽減することができます。また、将来的にはより精度の高い取引を実現するために、取引上の異常値を検知する機械学習(Machine learning)の開発を進めています。
CTIAは地球規模の急激な環境変化や気候変動に伴う需給ネットワークの変化において、安心できる品質の高い製品を支えるサプライチェーンを実現するために、大小規模を問わずどのような組織でも導入ができるビジネスソリューションの開発を心掛けています。地域で生産される特産品や大量生産が難しい製品の流通基盤での利用、町工場や職人連携でのグローバル製品開発や新分野の市場展開への効果も期待しています。
当サービスは『Traceability as a Service』をサービス名称として、SaaS型で提供します。当面は個別に顧客の導入支援を実施していく予定で、価格は個別見積もりとなります。
- 支える技術
『Traceability as a Service』はR3社が開発・提供するミドルウェア『Corda Enterprise』を取り入れることでサプライチェーン上の組織ごとにポリシーを保護しながらも安全なデータの交換を可能にしました。また、オンプレミスでの運用を想定されて構築されている点もCorda Enterpriseを採用した理由の一つです。
また、『Traceability as a Service』の開発に伴い3つの独自技術を開発しました。
一つは、サプライチェーンを支える組織間での情報共有を行うために、デジタル上でモノを表現するためのグラフ構造を用いた階層型トークンを生成する『Token Processor』。
二つ目は、Corda内での複雑なOrganizationを実現し、機材や格納場所、製品や作業で使用するトークンのやり取りを可能とする『Token Register』。
三つ目は、Intel社のSGXを利用してメモリ内でアルゴリズムを保護することにより、セキュリティレベルの高いデータの運用を実現する『Transaction RAM Protection』。
これらの技術は、例えば、A社に勤める作業担当者である山田さんが担当している箱の中にある果物を、次の作業を担当するB社の松原さんが担当している棚にあるかごの中に入れる、というような実社会においての製品や作業の動きを表現するために使用します。
- 今後について
2019年11月11日~13日にシンガポールで開催される『Singapore Fintech Festival 2019』に出展します。また、当日は実用化に向けて導入試験を行う企業の展示と企業の方を招いてのセッションを予定しています。