日本のAIガバナンスのあり方を議論する”AIガバナンス協会”理事5名が対面出席での記者発表会を開催

プレスリリース要約

AIGAは、AIの急速なビジネス活用とそれに伴うリスクに対応するためのAIガバナンスの構築を目指し、2023年10月に設立された。AIGAは、40以上の企業が参画し、4つのワーキンググループを立ち上げて活動しており、AIガバナンス行動目標の策定や政策提言などの成果を上げている。今後の活動方針として、AIガバナンスの実践知の蓄積・深化や政策形成の場への参画を重点に置き、会員企業はAI活用の負の影響を抑制し、日本のAI活用を促進することを目指す。AIGAの理事からは、AIガバナンスの重要性や役割に関するコメントが述べられている。AIGAは、AIガバナンスに関する共通理解の醸成や政策提言などの活動を行う任意団体であり、多様なプレイヤーがAIガバナンスのあり方を議論できる場を提供している。

  • AIGA設立にかかる問題意識・設立背景

 昨今のAIのビジネス活用の様々な業界・業種への急速な拡大や、AIの抱えるリスクの認識の広まり、国内外の制度動向を受け、事業者に対して、AIのリスクを管理しその便益を最大化するための取組−−「AIガバナンス」の実践の要請が高まっています。
 他方、AIガバナンスを実現するために望ましい実務的な手続きや制度的な仕組みについては、国内外の様々な公的機関や事業者が検討を進めているものの、共通の解が確立されるには至っていません。
 こうした背景を踏まえ、AIGAは、事業会社を中心としてAIガバナンスの構築に取り組む企業が産業横断で議論し、スタンダードづくりや政策・制度枠組みの提言を実施するフォーラムとして、2023年10月に設立しました。

  • AIGAの活動内容

 AIGAには2023年10月の設立直後から数十の企業が参画し、正会員数は2月19日の理事会承認をもって41となりました。発表会では、AIGAの活動経緯と併せて、前記の重要アジェンダに対応して立ち上げた4つのワーキンググループの活動内容とその実績についてご紹介しました。いずれのワーキンググループも2024年1月以降に企画・運営のコアとなるWGメンバーを中心として活動を本格化させている中で、発表会で特に詳しくお伝えした、「行動目標WG」と「政策提言WG」の成果は以下のとおりです。

<行動目標WG:「AIガバナンス行動目標」の策定>
 国内外の政策動向などから、事業者による自主的なAIガバナンス構築への期待が高まっていることを踏まえ、AIGAにおいても取組の方向性を明確化する必要があると考え、有識者も交えつつ、会員全体で議論・検討して「AIガバナンス行動目標」を策定しました。
 国内外で議論されている共通的なガバナンス要素を織り込むだけでなく、「AIガバナンスの民主化」「横断的な共通認識の醸成」「国際的な議論への参加」といった項目を通じて、マルチステークホルダーでの知見共有や共同での議論への貢献に対するAIGAの姿勢を明確化しました。AIGA・会員企業は政府・市民等を含む社会に対して「AIガバナンス行動目標」を宣言し、これを共通の目標として実現に向けて努力していきます。
 ●「AIガバナンス行動目標」の全文・詳細はこちらの協会発信記事
  (www.ai-governance.jp/blog/commitment-240219)をご覧ください。

<政策提言WG:AIガバナンスに関するパブリックコメントの提出>
 AIを開発・提供・利用する幅広い主体が実務上参照する、影響度が大きい政府方針である、総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン案」と、文化庁「AIと著作権に関する考え方(素案)」に対して、会員全体で意見を検討し、AIGAとしてのパブリックコメントを提出しました。
 ●「AI事業者ガイドライン案」に対する提出意見の全文・詳細はこちらの協会発信記事
  (www.ai-governance.jp/blog/proposal-240219-guideline)をご覧ください。
 ●「AIと著作権に関する考え方(素案)」に対する提出意見の全文・詳細はこちらの協会発信記事
  (www.ai-governance.jp/blog/proposal-240219-copyright)をご覧ください。

  • 今後の活動方針

 発表会の最後には、『「AIガバナンス行動目標」へのコミットメントの拡大』、『AIガバナンスの実践知の蓄積・深化』、『政策形成の場への参画・知見提供』を柱とした今後の主要な活動発展の方向性と、AIガバナンスの取組を業界横断で大きな波にしていくことへの意気込みをお伝えしました。

 AIGAは今後とも、AIリスクをめぐる課題・検討事項が山積する現状を受け止めつつ、国内でAIの開発・利用に携わる幅広いプレイヤーによる知見の共有や議論を通じて、AIがもたらす負の影響を抑制し、日本のAI活用を促進できるよう努めてまいります。

  • 各理事のコメント

<理事(議長) 東京海上ホールディングス 常務執行役員CDO グループデジタル戦略総括 生田目雅史氏>
 AI技術の進展を促進しつつ、健全な社会発展に適切に活用するためには、技術革新に伴う各種論点に対し、政府・事業者・利用者など多くのステークホルダーの知見と考察を集約することが不可欠です。AIガバナンスに主体的に取り組む会員企業各社からなるAIGAは、実務から集約された知見や考察を社会に広く発信し、政府など国内外の関連機関とも議論・連携しながらあるべきAIガバナンスの実現に貢献していきます。

<理事 Robust Intelligence 共同創業者 大柴行人氏>
 AI活用の担い手となる企業がAIガバナンスを実装していくべきフェーズが訪れています。日本のAI活用を本格的に軌道に乗せるためには、AIサービスの開発・提供・利用の実務を踏まえた議論が不可欠です。AIGAでは引き続き、政府や公的機関の取組とも連携しながら、AIガバナンスの実装を推し進めていきます。

<理事 リクルートホールディングス 取締役 兼 常務執行役員 兼 COO 瀬名波文野氏>
 AIGAには、AIの可能性を信じつつ、AIが抱えるリスクとその解決のための具体的なガバナンス方法を検討したいと、幅広い業界から企業・団体が集まってきています。多様なステークホルダーによる議論を通して、イノベーションを支える建設的なガバナンスのあり方を、共に模索してまいります。

<理事 スマートガバナンス 代表取締役CEO・京都大学特任教授・弁護士 羽深宏樹氏>
 40社近くの企業が集まり、「AIガバナンス行動目標」策定などの成果を共同であげたのは重要な進展です。行動目標に第一に掲げられた「AIガバナンスの民主化」を実現し、変化の激しい技術動向に対応するための新たなガバナンスモデルを模索するため、今後も取組の輪が広がっていくことを期待します。

<理事 三菱UFJフィナンシャル・グループ 執行役常務 デジタルサービス事業本部長 兼 グループCDTO 山本忠司氏>
 AIGAとして、政府により、事業者に求められる取組の方向性がガイドライン等の形で取りまとめ、提示されたことを歓迎します。他方、まだまだ官民で検討すべき課題が数多く残されていることも事実です。AIGAがAI活用の現場の声を集約し、パブリックコメント等の形で提起する検討課題・意見が様々な場で議論・検討され、イノベーションとのバランスの取れたより良いAIガバナンスのあり方が確立・定着していくことを期待します。

  • AIガバナンス協会について

 AIガバナンス協会(AIGA)は、AIのビジネス活用の急拡大とその裏でのリスク認識の広がり、国内外の政策動向の急速な変化等を背景として、企業と社会が安心してAIを活用し、持続可能な成長を遂げるために、多様なプレイヤーがAIガバナンスのあり方を議論できる場を創るべく設立された任意団体です。
 AIGAでは、AIのビジネス活用を進める企業を中心とするメンバーが産業横断で議論を行い、企業のあるべきAIガバナンスに関する共通理解の醸成や政策提言等の活動を実施します。
・理事       :
大柴行人 (Robust Intelligence 共同創業者)
瀬名波文野 (リクルートホールディングス 取締役 兼 常務執行役員 兼 COO)
生田目雅史 (東京海上ホールディングス 常務執行役員CDO グループデジタル戦略総括)
羽深宏樹 (スマートガバナンス 代表取締役CEO・京都大学特任教授・弁護士)
山本忠司 (三菱UFJフィナンシャル・グループ 執行役常務 デジタルサービス事業本部長 兼 グループCDTO)

・設立日    :2023年10月26日
   設立時のプレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000131696.html

・サイトURL  :https://www.ai-governance.jp/

・問い合わせ先 :[email protected]

・主な活動内容
①企業のあるべきAIガバナンスに関する共通理解の醸成
②AIガバナンス実現のための政策や制度枠組みの提言

・会員企業(2024年2月19日現在。和名五十音順)
 正会員:協会の活動趣旨に賛同し、AIモデル・サービスの開発・活用に携わる企業・団体

引用元:PR TIMES

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