炭素繊維を用いた耐熱温度1,500℃のCMC材料(C/SiC)を開発

プレスリリース要約

三菱ケミカルグループは、高耐熱のセラミックマトリックスコンポジット(CMC)を開発し、宇宙産業用途を中心に2024年の展示会に出展する予定。これは従来のCMCよりも高い耐熱性を持ち、今後はさらなる技術開発を進め、宇宙輸送システムの部材としての採用を目指す。また、他の新製品も出展予定である。
三菱ケミカルグループ※1(以下「当社グループ」)は、ピッチ系炭素繊維を用いた高耐熱のセラミックマトリックスコンポジット(CMC)を開発したことをお知らせします。当開発品は耐熱温度1,500℃という特長から宇宙産業用途を中心に採用をめざしており、2024年2月20日から22日に東京で開催される「2024 国際宇宙産業展」および3月5日から7日にパリで開催される「JEC World 2024」に出展する予定です。

一般的なCMCはセラミック基材をセラミック繊維で強化した複合材(SiC/SiC)で、軽量でありながら高強度、高靭性、高耐熱性といった特長から、宇宙産業用途をはじめ航空や自動車のエンジン周辺部材等に使用されています。当開発品はセラミック繊維の代わりに当社グループが製造するピッチ系炭素繊維を用いたうえに表面に酸素透過バリア層を設けることで、空気中1,500℃で1時間保持しても強度が低下せず、かつてないほどの高耐熱性を有するCMC材料(C/SiC)を実現しました。これはJAXA革新的将来宇宙輸送システム研究開発プログラムで参考値として提示されている1,600℃で800秒間の条件にも耐えうるものです。

今後は、2030年代前半に実現をめざしている宇宙輸送システムの往還機熱シールドや宇宙利用・回収プラットフォーム部材への採用を視野にさらなる耐熱性能を向上させる技術開発を進めます。

1,500℃の熱処理前後で劣化が確認されなかった断面図(左:熱処理前、右:熱処理後)

 

「2024 国際宇宙産業展」および「JEC World 2024」には当開発品の他に以下の新開発品を出展する予定です。

・高耐熱性 炭素繊維複合材料

左から炭素繊維+炭素、炭素繊維+SiC、炭素繊維+フェノール樹脂の複合材料 製品形状例

 

・2,200℃耐熱 ピッチ系炭素繊維強化炭素複合材料(C/Cコンポジット)

2,200℃の加熱処理後表面

詳細紹介サイト:https://www.m-chemical.co.jp/carbon-fiber/topics/ 

 

※1三菱ケミカルグループは、三菱ケミカルグループ株式会社とそのグループ会社の総称です。

引用元:PR TIMES

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