【岐阜県高山市】市と國學院大學、市民ボランティアによる民具資料の調査・整理を実施
プレスリリース要約
令和5年12月8日(金)から10日(日)にかけて、高山市の旧丹生川東小学校で、高山市文化財課と國學院大學観光まちづくり学部の小林稔(こばやしみのる)教授、石垣悟(いしがきさとる)准教授と学生9名、さらに地域のボランティアの方々と協働で、まちの博物館所蔵の民具資料の調査及び整理を実施しました。
高山市では、昭和28年(1953年)に歴史博物館として高山市郷土館が開館し、地元の民具の収集や展示をしていました。平成23年(2011年)に飛騨高山まちの博物館(以下まち博)としてリニューアルオープンした際に、これまで収集してきた資料のうち、民具資料を中心とした一部の資料を旧丹生川東小学校に移動し、膨大な量の民具は手付かずのまま保管されていました。
民具資料の中には、台帳と齟齬が生じているものや、資料としての価値付けが正しく行われていないものがあることから、改めて現在の資料台帳と照合しながら調査及び整理し、新規の台帳を整備するため、文化庁の調査官として高山祭屋台の修復事業に携わっていただいたことのある小林教授と石垣準教授に依頼をしたところ快くお引き受けくださり、今回の共同調査の実施になりました。
また、高山市と國學院大學とは、観光まちづくりの分野で連携協定を締結していることから、丹生川地域の観光まちづくりについての調査研究や高山をフィールドにした研究活動などの連携も進めています。
- 調査の実施
調査を始める前に、東京から来高してくださった小林教授、石垣准教授、学生9名と合流し、旧丹生川東小学校で牛丸文化財課長から学生に調査員委嘱状を交付しました。学生達は、全員自らこの整理作業に立候補して参加しており、寒さ厳しい冬の飛騨高山を初めて訪れた学生もいました。
作業手順は、あらかじめ選定してあった優先度の高い民具資料を、収蔵場所から作業場所まで運び出し、堆積していた埃などの汚れを小さい箒や雑巾で取り除くクリーニングを丁寧に行います。次に、綺麗になった民具をリスト(データベース)化した後、破損のおそれがある物は梱包し、資料に番号のタグを付けて、元の収蔵していた部屋に戻します。元の台帳で付けられていた番号や資料に書かれている墨書、欠損の状況など、既存の台帳と照合しやすいよう、資料に関わる詳細情報を含め入力を行います。
2日目の午後には、地域のボランティア10名も加わり、学生と共に整理作業を行いました。ボランティアの皆さんは、民具に興味のある方や地域の資料保全に関心のある方などで、クリーニングや運び出しなど、整理作業全体が各段にスピードアップしました。
最終的に3日間で513件の資料をリスト化することができました。リスト化した資料は膳の椀や皿、盆のほか、大工道具、火鉢、長持、糸車、玩具など、多種多様で、収蔵場所の各部屋にそれまで雑多に積まれていた状態から、将来的な活用などを視野に入れて、取り出しやすい状態にして戻されました。学生さんやボランティアの皆さんは、底冷えする建物の中で、積極的に作業に取り組んでくださいました。
- 今後の展望
今回の資料整理により、今後の文化財の保存と活用について、どのように計画立案していくのか、また、自治体と地域、大学などの学術機関がどのように連携していくべきかなどの課題解決のための体制を考える指標を得ることができました。今回の大学、地域ボランティア、自治体の協働による整理作業は、地域に遺るさまざまな資料を、自治体の所蔵施設だけではなく、地域内でどのように保存していくのかなど、文化財保存体制の構築を考える上で、今後の方向性を示すことができたものといえます。
自治体や地域で収蔵している資料に対し、大学などの学術機関が専門的な見地から調査及び整理を行って資料の価値を判断し、さらに調査及び整理された資料を展示や体験などを通じて活用することで、地域でその資料が遺された意義を理解してもらい、それにより文化財の保存に繋げ、さらなる調査及び整理を行う呼び水となるような好循環が生み出せるよう、次年度以降も資料整理を継続して実施します。
【本件に関するお問い合わせ】
高山市役所文化財課
住所:〒506-8555
岐阜県高山市花岡町2丁目18番地
電話:0577-35-3156
FAX:0577-35-3172
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引用元:PR TIMES