USでのEVユーザー評価:上位モデルが品質とスタイリングで高評価を得る一方、公共充電の充実度に悲観的【J.D. パワー 2024年米国EVエクスペリエンス(EVX)オーナーシップ調査℠】

プレスリリース要約

米国ミシガン州トロイに拠点を置く国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー ジャパンは、2024年U.S. Electric Vehicle Experience Ownership Studyの結果を発表した。BEV市場での品質と維持費が重要視され、公共充電の利便性が低下していることが明らかになった。BMW i4とMINI Cooper Electricが高い評価を受けた一方、PHEVの所有体験に対する満足度は低いことが示された。EV市場の拡大に伴い、車の品質と信頼性の向上が重要視されている。また、新規EVユーザーの満足度が低く、PHEVはEVの代替にはならない可能性があることも指摘された。EV市場の動向については、J.D. パワーが今後も調査を行い、拡大するEV市場の変化に注目していくと述べている。
 CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー ジャパン(本社:米国ミシガン州 トロイ)は、現地時間2月27日に、J.D. Power 2024 U.S. Electric Vehicle Experience(EVX) Ownership Study℠ (2024年米国EVエクスペリエンスオーナーシップ調査℠)の結果を発表した。

 バッテリー式電気自動車(BEV、以降”EV”に省略)に乗り換える購入者が増える中、ガソリン車(ICE)の購入者にとって重要な「品質」と「維持費」が、EV購入者の満足度にも大きな影響を及ぼすようになっていることがわかった。また公共充電の利用しやすさに対する満足度は前年に続き最も低く、公共充電での体験に対する評価も顕著に悪化している。

2024年のスコアの概要は下記の通り:

  • 総合満足度の調査平均スコアはプレミアムBEVセグメントが750ポイント、マスマーケットBEVセグメントが718ポイントとなった(1,000ポイント満点)。

  • 全モデル中、最も高評価だったのはBMW i4であった。また、MINI Cooper ElectricがマスマーケットBEVセグメントにおいて、2年連続で最も高い評価となった。

  • BMW i4 、MINI Cooper共に「車の品質と信頼性」ファクターにおいて該当セグメント中最高評価だった。該当セグメントの2位モデルよりも60ポイント強上回った。

2024年調査の主なポイントは下記の通り:

公共充電での体験はますます悪化
EVユーザーのフラストレーションの大きな原因は、引き続き公共充電の満足度であることが分かった。テスラを除く全ブランドのEVユーザーが、状況の悪化を指摘している。マスマーケットBEVセグメントでは、「公共充電の利用しやすさ」 に対する満足度が、前年よりも32ポイント低下した。

不具合体験はプレミアムBEVセグメントよりもマスマーケットBEVセグメントの方が少ない
マスマーケットBEVセグメントのユーザーは、プレミアムBEVセグメントのユーザーよりも所有する自動車の不具合経験が少ない。マスマーケットセグメントでランキングに含まれた14モデル中11モデルが、全不具合指摘数でプレミアムセグメントの市場平均を下回っている。EVの所有体験をポジティブなものにするには、「車の品質と信頼性」の向上がカギとなる。EV市場の拡大に伴い、ユーザーの期待値を満たすためには、問題を最小限に抑えることが重要である。

新規EVユーザーは既存EVユーザーよりも満足度が低い
初めてEVを購入したユーザー(新規EVユーザー)は、過去にEVを所有したことのあるユーザー(既存EVユーザー)よりも満足度が低い。新規EVユーザーと既存EVユーザーの満足度差は、前年の14ポイントよりも更に広がり28ポイントだった。また、新規EVユーザーの総合満足度は前年比-16ポイントだった。2つの顧客層間で最も差が大きいファクターは「航続距離」 と「公共充電の利用しやすさ」 だった。

ほとんどのEVユーザーが再購入意向を示すものの、新規EVユーザーでは様々な選択肢
新規EVユーザーは、今後の再購入にあたりEV以外の車両も視野に入れると回答している。ほぼ半数(48%)がPHEV(プラグイン・ハイブリッド車)を検討すると回答しており、39%がHEV(ハイブリッド車)またはICE(エンジン車)を検討すると回答している。一方で、既存EVユーザーでは、38%がPHEVを検討すると回答しており、HEVまたはICEを検討すると回答したのは19%と低かった。

PHEVはBEVの代替になり得ない可能性
航続距離や公共充電の不足といったEVの課題の多くをPHEVが解決できるという報道があるが、本調査では、PHEVユーザーは全体的にEVユーザーよりも所有している車両に対する満足度が大幅に低いことが確認された。マスマーケットBEVセグメントの718ポイント、プレミアムBEVセグメントの750ポイントに比べ、PHEVセグメントの総合満足度は629ポイントと大きく下回っている。PHEVは、単純にEVの課題の早期解決策とは言えない可能性がある。ランニングコストの削減がEV購入の大きな動機となっているが、PHEVの維持費の満足度はEVより遥かに低い。

J.D. パワー ジャパン 代表取締役社長 兼 オートモーティブ部門 部門長 山本浩二 のコメント
 昨年に引き続き、本年調査でもEVの移行に向けて加速する米国自動車市場のダイナミックな変化が見えています。特にEVモデルのラインナップ増加や補助金の拡大により、アーリーアダプターだけでなく多くの一般消費者がEVを購入し始めており、ICEの利用経験を踏まえたEVのブランド選択が行われている傾向が見られます。
 一方で、EVの弱点を補完するソリューションとして期待されているPHEVは、顧客満足度がEVより明らかに低く、PEHVがEVの代替ソリューションにはなり得ていないことも明らかになりました。航続距離と充電の問題を解決できる一方で、大きな課題となっているランニングコストの低減が実現できていません。
 EV市場が危機に瀕しているという報道も散見される中、米国のEV市場は着実に拡大しており、2022年12月の8.5%から2023年12月の9.2%にシェアを伸ばしています。J.D. パワーは今後もEVに関する調査を通じて、ダイナミックな変化に直面する米国EV市場の動向を捉えていきます。

J.D. パワー 2024年米国電気自動車エクスペリエンス顧客満足度No.1を発表
総合満足度ランキングは下記の通り。

【プレミアムBEVセグメント】(ランキング対象8モデル)
第1位:BMW i4(800ポイント)
第2位:Rivian R1T(789ポイント)
第3位:Rivian R1S(778ポイント)

【マスマーケットBEVセグメント】(ランキング対象14モデル)
第1位:MINI Cooper Electric(770ポイント)
第2位:Ford Mustang Mach-E(764ポイント)
第3位:Hyundai IONIQ 6(759ポイント)

※PHEVセグメントは社内基準を満たさなかったため本年はランキング不成立。

《J.D. パワー 2024年 米国電気自動車エクスペリエンス(EVX)オーナーシップ調査℠概要》
2023年および2024年型車のバッテリー式電気自動車(BEV)またはプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)を購
入したユーザーを対象に、EV所有に関する顧客体験を聴取し明らかにする調査。
米国の主要なEVドライバーアプリメーカーであり調査会社でもあるPlugShare社と共同で実施し、今年で4回目
となる。
■実施期間:2023年8月~12月 
■調査対象:2023年および2024年型車のBEVまたはPHEVを購入したユーザー
■調査回答者数:4,650人

総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を
基に1,000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。
顧客満足度を構成する10ファクターは下記の通り:
accuracy of stated battery range(航続可能距離表示の正確さ), availability of public charging stations(公共充電の利用しやすさ), battery range(航続距離), cost of ownership(維持費), driving enjoyment(運転の楽しさ), ease of charging at home(自宅での充電のしやすさ), interior and exterior styling(内装/外観のスタイリング), safety and technology features(安全/先進機能), service experience(アフターサービス経験), vehicle quality and reliability (車の品質と信頼性)

*本報道資料は現地時間 2024年2月27日に米国で発表されたリリースを要約したものです。 原文リリースはこちら 
https://www.jdpower.com/business/press-releases/2024-us-electric-vehicle-experience-evx-ownership-study

*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。

【ご注意】本紙は報道用資料です。弊社の許可なく本資料に掲載されている情報や結果を広告や販促活動に転用することを禁じます。

PlugShareについて:
カリフォルニア州エルセグンドに本拠地を置くPlugShareは、EVインフラストラクチャについて世界で最も包括的な調査を行っている企業である。同社が開発した世界で最も人気のあるEVドライバーアプリ「PlugShare」アプリは、iOS、AndroidおよびWebに対応しており、北米では多くのドライバーが使用、また世界中で700万人以上のEVドライバーが使用している。PlugShareは、EVに関する高度なデータツール、レポート、カスタムコンサルティング、包括的な調査を自動車メーカー、公共事業会社、充電ネットワーク会社、政府、およびその他のEV業界関係者に提供している。同社は、世界最大のEVドライバー調査パネルであるPlugInsightsを有しており、現在のメンバー数は150,000人以上を誇る。

J.D. パワーについて:
J.D. パワー(本社:米国ミシガン州トロイ)は消費者インサイト、アドバイザリーサービス、データ分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。50年以上にわたり、ビッグデータやAI、アルゴリズムモデリング機能を駆使し、消費者行動を捉え、世界を牽引する企業に、ブランドや製品との顧客の相互作用に関する鋭い業界インテリジェンスを提供するパイオニアです。
J.D. パワーは、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋にオフィスを構えています。事業内容の詳細については、https://japan.jdpower.com/jaをご覧ください。

引用元:PR TIMES

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