『イラク水滸伝』の高野秀行さんが「第28回植村直己冒険賞」を受賞!
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プレスリリース要約
株式会社文藝春秋(本社:東京都千代田区 社長:飯窪成幸)より2023年7月26日に刊行した同書は、“現代最後のカオス”ともいうべき、権力に抗うアウトローや迫害されたマイノリティが逃げ込む謎の巨大湿地帯〈アフワール〉に挑んだ、異色のノンフィクションです。
中国四大奇書の一つ『水滸伝』は、悪政がはびこる宋代に町を追われた豪傑たちが湿地帯に集結し政府軍と戦う物語ですが、世界史上には、ベトナム戦争時のメコンデルタ、イタリアのベニス、ルーマニアのドナウデルタのようなレジスタンス的な、あるいはアナーキー的な湿地帯がいくつも存在してきました。
中でも、人類最古の文明の至近に存在してきたイラクの巨大湿地帯は、馬もラクダも戦車も使えず、巨大な軍勢は入れず、境界線もなく、迷路のように水路が入り組み、方角すらわからない、非常に特異なエリアです。
謎の秘教を信奉するマンダ教徒たちが隠れ、フセインの独裁に徹底抗戦した反骨の徒が集まり、水牛とともに生きる「水の民」マアダンが古代シュメール人さながらに生活するこの地を探検した記録は、ノンフィクション紀行としての圧巻の面白さとともに、中東史の裏側を浮き彫りにし、稀少な民族誌的記録ともなっています。とくに、マアダンの生活文化における、水牛の乳からのゲーマル(生クリームやヨーグルトのようなもの)のつくり方や、葦による浮島(チバーシェ)のつくり方などの詳細を報告したのは世界初であり、代々湿地帯でつくられてきた独自のマーシュアラブ布(アザール)の緻密な調査も特筆すべき成果となっています。
本書は発売以降、各メディアで大きな反響を呼び、識者たちの高い評価を受けてきました。
「古代史、地域史、国際関係、宗教、グルメ、アートなどなど、極めて多くの学びを得ることができた本。高野秀行を知らなければ、人生を確実に損している!」
――丸山ゴンザレス(ジャーナリスト)
「読み出したらとまらない第一級のノンフィクション! 読了したときの感動。私は泣いてしまった」
――今井むつみ(慶應義塾大学教授)
「オルタナティブなものをどうやったら描き出せるか? 僕はずっと高野秀行本に深くインスパイアされ続けてきた」
――東畑開人(臨床心理学者)
■高野秀行さんのコメント
自分のやっていることが植村直己冒険賞の対象になるとは思いもしなかったので、青天の霹靂。ただ、山田高司隊長はとっくの昔に同賞を受賞していておかしくない真の冒険探検家。隊長とコンビを組んだおかげだろう。また、『イラク水滸伝』という探検の「報告」が評価されたことはひじょうに嬉しい。30年以上も未知や謎を探求してきた甲斐があった。
■受賞者プロフィール
ノンフィクション作家。1966年、東京都生まれ。ポリシーは「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをし、誰も書かない本を書く」。早稲田大学探検部在籍中に書いた『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)でデビュー。『ワセダ三畳青春記』(集英社文庫)で酒飲み書店員大賞、『謎の独立国家ソマリランド』(集英社文庫)で講談社ノンフィクション賞と梅棹忠夫・山と探検文学賞を受賞。近著に『辺境メシ』(文春文庫)、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)など。
探検家、環境活動家。1958年、高知県生まれ。東京農業大学在学中の1981年に南米大陸の三大河川(オリノコ川・アマゾン川・ラプラタ川)をカヌーで縦断し、「青い地球一周河川行」計画をスタート。85年にアフリカに渡り、セネガル川、ニジェール川、ベヌエ川、シャリ川、ウバンギ川、コンゴ川の川旅を成し遂げる。1990年代後半から2000年代前半にかけて環境NGO「四万十・ナイルの会」を主宰。愛称は、山田隊長。
■書誌情報
出版社:株式会社 文藝春秋
書 名:『イラク水滸伝』
著 者:高野秀行
イラスト:山田高司
判 型:四六判上製カバー装 480ページ
発売日:2023年7月26日
定 価:2,420円(税込)
ISBN: 978-4-16-391729-0
書誌URL :https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163917290
※著者の取材対応が可能です。お問い合わせください。
引用元:PR TIMES