FullMooN「ねね生誕祭~春の9周年ワンマンライブ~」の模様をレポート。ドラマーに葵が加入!!!!

FullMooNの結成9周年とヴォーカルねねの誕生日を合同で祝うべく「ねね生誕祭~春の9周年ワンマンライブ~」を、4月24日(土)にThunder Snake ATSUGIを舞台に無料公演として行なった。オープニングアクトには、後輩バンドのEmpressが登場。当日の模様を、ここにお伝えします。

薄明かりの中、次第に浮かび上がるメンバーたちの姿。ライブは「光」の演奏が始まると共に、数多くの光(照明)が降り注ぐ中で始まった。夢を追いかけ続けるメンバーらの姿勢や思いを、彼女たちは攻めた姿を持って示してゆく。ねねの熱意を持った歌声が、聞き手の気持ちを熱く奮い立てる。とても気合と気迫に満ちた演奏だ。それだけ彼女たちのライブに賭ける思いが半端ないということだ。
えれんのギターが火を噴くような旋律を奏でるのを合図に、楽曲は一気に激しさを増す。FullMooNは「破天荒解」を突きつけ、フロア中の人たちを煽り立てる。ギターのえれんも、ベースのりんも、サポートドラムの葵も、終始攻撃的な姿勢で演奏を突きつける。その勢いへ胸を熱く揺さぶる高揚を与えるように、FullMooNは「癒えない傷隠したまま笑う君は僕に似ている」を披露。序盤からすでに、メンバーらの放つ気迫はフルパワーだ。4人の気合と気迫に押され、フロア中からも無数の拳が突き上がる。気持ちを高揚へ導く楽曲やねねの歌声に刺激を受け、心に熱い思いが込み上がる。堪らないよ、この感覚が。

ライブで披露するのは久し振りだ、キラキラとしたポップテイストの強い「DRAWING STARS」を通し、彼女たちはFullMooNの中にあるガーリーな面を見せてゆく。いつもの強気な姿もFullMooNらしいが、甘くキュートな姿や音楽性もスーッと世界へ入り込みやすいように、これからもぜひ魅力にして欲しい。
FullMooNは、ふたたび情熱メランコリックな「オルゴール」を通して攻めた姿を示す。重厚かつシンフォニックな楽曲だ。巧みに転調しながらドラマを描き出す演奏に触発され、いつの間にかその世界へと意識が吸い込まれてゆく。続く和要素を際立たせた「泡沫狂恋物語」でも、彼女たちは雄々しい姿を示しながらフロア中の観客たちの身体を揺らしていた。1曲ずつ巧みに表情を変えながらも、今宵のFullMooNはブロックごとの流れを一つの楽曲のように構築していた。だから観客たちも、大きなうねりの中へずっと身を浸すような感覚で身体を揺らし、拳を突き上げていたのだろう。

MCでは、りんが”えせ阿波踊り”を披露する場面も登場。次のブロックは、大切な夢を守り、共に花を咲かそうと歌う胸熱高揚ソングの「Change song」からスタート。歌心を大切にした楽曲のように一つ一つの歌詞が胸に飛び込めば、彼女たちの強い決意に共に心を重ね合わせ、一緒に大きな夢の花を咲かせたくなる。「夢のために生きている」の言葉の先に待っている姿を、共に見てみたい。
晴れた音色に合わせ心地好く駆け出すように、FullMooNは「魔法の言葉。」を披露。とてもポップでチャーミングな楽曲だ。心に光射す曲と言えば良いだろうか。この歌に、ねねの甘えたような言葉(歌詞)に触れていると、自然とにやけてゆく。でも、そういう気持ちにしてくれるのが嬉しいじゃない。輝きの中へ攻撃的な情熱の赤い色を加えるように、FullMooNは「Trust」を奏で、ふたたび力強く攻めた姿を見せていく。解き放たれた気持ちの中へ熱を注がれたことで胸熱な気持ちも増してゆく。このブロックでは、歌心を強調した楽曲を次々と披露。高ぶった気持ちのままにライブを楽しんでいた。
ここで、FullMooNの9周年とねねの生誕祭を祝おうと、伊豆から、ご当地ヒーローのイズカイザーが舞台へ姿を現した。もちろん、披露したのは「イズカイザーのテーマ」。中に必殺技の名前も出てくるように、この歌は、FullMooNがイズカイザーのために提供したヒーローソング。舞台の上では、ねねの歌声に合わせイズカイザーが躍れば、必殺技のポーズも決めてゆく。観客たちも一緒にポーズを決めながら楽しんでいたように、戦隊ソングならではの心地好い一体感が会場中に生まれていたのも嬉しい光景だ。

ここからは、しばし「ヒーローショー」のコーナーへ。舞台に姿を現したのが邪悪将軍。彼は、観客たちに邪悪レーザーを降り注ぐ。その光を受け、観客たちが倒れ込むように、訪れた人たちも空気を読んで楽しんでいた。さすが、そこは大人な対応だ。観客たちを支配しようとする邪悪将軍から救おうと、3人の正義の使者レディービートル(Empress)が舞台へ登場。壮絶(??)な(茶番のような)バトルが繰り広げられる。邪悪将軍は意外に強く、3人へ邪悪な心を植えつけようとしてゆく。その窮地を救うべく、イズカイザーが登場。イズカイザーは、手にしたハリセンを使って攻撃を仕掛ける。イズカイザーと邪悪将軍は戦いの場をフロアに移し、観客たちの目の前で戦いだす。その様をプロレス中継のように実況解説を入れてゆく演出が、なかなか冴えているじゃない。イズカイザーは正義のヒーローのくせに、椅子を使ったラフプレイや邪悪将軍のマスク剥ぎまでやってしまう。邪悪将軍も、マスクの下にもう一つマスクを付けているところもさすがだ。イズカイザーも邪悪将軍もさまざまなプロレス技を披露。最後は、イズカイザーが3カウントを奪い勝利。というか、いつの間にかバトルがプロレスに変わっていたように、そこがひねりを効かせたバックドロップならぬFullMooNのライブを舞台にしたヒーローショーらしさ。

中盤戦の前に、今までサポートドラムだった葵がFullMooNに正式加入したことを発表。ここからは、新衣装を身につけた新生FullMooNとしてのライブがスタート。その喜びを歌声や演奏へぶつけるように、彼女たちは「絆」を披露。葵の衣装姿のように、その様を目にしたことで、本当にここから新生FullMooNが始まったことを実感。情熱的な演奏のように、これからも熱い気持ちのまま4人の絆を胸に走り続けてくれ。葵をメンバーに決めたのも、「本当に心から信用できる人」という理由から。しかも、葵からメンバー加入を希望したところも嬉しいじゃない。
続いて披露したのが、ガーリーで青春ポップな表情を押し出していた頃のナンバー「HAYPER LOVE BEAM」。愛らしさを振りまきながら歌い演奏する姿も、妖しい色気まじりのぶりっこ(死語だね)さが出ていて、見ていて新鮮だ。続く「ドキドキ夏休み」では、客席より選ばれた観客の名前を歌の中で連呼するという大胆な行為も披露。こちらも晴れた爽やかなガーリーポップチューン。ワンマンだからこそ、この手の表情を味わえたわけだが、できることなら、甘くポップで胸をドキワクさせるラブリーチューンも引き続き見せてもらいたい。

次のブロックで披露したのが、ヴォーカルのねねとギターのえれんによるアコースティックなセッション。椅子に座った2人で披露したのが、「青い月」。えれんの爪弾くアルペジオの音色へ寄り添いながら切々とした想いと歌声をねねが塗り重ねてゆく。この時間、誰もがその場に立ち尽くし、舞台の上から哀切な歌の光となって降り注ぐ2人の想いをしっかりと抱きしめていた。

ドラムの葵とベースのりんによるセッション演奏が、ふたたび観客たちを騒がせる。その場で跳ねながら煽るりんと、笑顔でドラムを叩く葵。そこへギターのえれんが加わり、演奏は一気に「フラッシュバック」へ。お前ら暴れたいんだろう、騒ぎたくてしょうがないんだろうと言わんばかりに、FullMooNは熱量の高い演奏で観客たちを煽りだす。フロアでは、多くの蒼いサイリウムの光が揺れていた。とてもスケールあふれた楽曲だ。熱を抱いた大きなうねりの中へ包まれながら、自然と気持ちにも熱が重なりだしていた。高まる感情へ重厚な音を浴びせるように、FullMooNは「blue max」を突きつけた。一気に速度を増した演奏に触発され、大勢の観客たちが大きく身体を揺らし、熱く拳を振り上げる。このまま、熱狂の先まで連れ出してくれ!!!!

抑揚したねねの歌声を合図に始まった「sugar」では、愛しき想いを伝えるように優しく歌う姿が舞台の上にはあった。胸に染み渡る歌に触れながら感じていた、甘くて愛おしい気持ち。「sugar」もスケールあふれた楽曲だ。歌や演奏に触れながら,いつしか気持ちが舞台上の彼女たちの姿や楽曲へ吸い寄せられていた。
さぁ、ここからラストへ向かって一気にスパークだ。勇猛なギターの旋律と重厚な音が暴れだすのを合図に、楽曲は「サバイバル」へ。ねねも、雄々しい声を魅力に観客たちへけしかける。フロアでも、騒ぐ気持ちのまま熱く身体を揺さぶる人たちが続出。モニターに足を乗せ前のめりの姿で歌声を突きつけるねねの姿も凛々しい!!高ぶる気持ちへ、さらに熱を注ぐようにFullMooNは「燈」を演奏。もともと怒りのパワーを元に産まれた楽曲のように、雄々しい姿で歌声や演奏を突きつける姿が、とても勇ましい。ベースのりんが途中でポーズを見せていたのも、見ながら心惹かれた姿だった。
ねねと観客たちが、頭上高く掲げた手を大きく振りまわしながら一体感を作りあげた「スーパージェット1号機」。本編最後に演奏した「しゃむちゃら」と、立て続けに無条件にテンションをアゲてゆくアッパーな楽曲を届け、FullMooNはフロア中を祭り騒ぐ景色に染め上げていった。この楽しさこそ、最高に美味しい音楽のメインディッシュだ。エンディングで舞台の上を転げ回るねねの姿も、お馴染みの風景。というか、それも込みでの「しゃむちゃら」だ。

演奏前に、後輩バンドのEmpressが、ねねのためにケーキを持って舞台へ。アンコールは、この舞台に立てる喜びを。そして、いつも支えてくれる仲間たちへ向けての感謝の想いを告げるように「ステージ」を演奏。改めて、この歌を通して彼女たちと互いの心の手を取り合い、ギュッと強く握りしめていた。
最後に、FullMooNが届けたのが最新シングルの「affection」。なかなか光の見えにくい今の時代の中、この歌に触れていると、それでも光降り注ぐ場にたどり着けると思えてゆく。心の支えとなる存在がいれば、きっと今を乗り越えていける。それは、この歌を届けてくれたFullMooNのメンバーも同じ。崩れそうな脆い心を持った人たちでも、寄り添いあえば、激流さえきっと乗り越えていける。多少傷ついてもかまわない。いつかそれを勲章として誇れるだけの自信に変えるためにも、FullMooNと一緒に今を乗り越えていこうじゃないか。

新メンバーに葵を加え、10年目に足を踏みだしたFullMooN。こんな時代だからこそ、その無邪気な笑顔と勇ましい姿で、仲間たちを光降り注ぐ場所へと導いて欲しい。

TEXT:長澤智典

セットリスト
「光」
「破天荒解」
「癒えない傷隠したまま笑う君は僕に似ている」
「DRAWING STARS」
「オルゴール」
「泡沫狂恋物語」
「Change song」
「魔法の言葉。」
「Trust」
「イズカイザーのテーマ」
――ヒーローショー――
「絆」
「HAYPER LOVE BEAM」
「ドキドキ夏休み」
「青い月」
リズムセクション
「フラッシュバック」
「blue max」
「sugar」
「サバイバル」
「燈」
「スーパージェット1号機」
「しゃむちゃら」
-ENCORE-
「ステージ」
「affection」

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