騒ぐ気持ちを誰も制限は出来ない。景夕のバースデーを祝う2部制公演『景夕からアナタヘこの歌を届けよう』より、心の自由とKraと謳歌したメルヘンロックな第一部公演の模様をレポート。

Kraのヴォーカリスト景夕の誕生日当日に当たる 2月26日(金)、TSUTAYA O-WESTを舞台に景夕のバースデーを祝う2部制公演『景夕からアナタヘこの歌を届けよう~「景夕と結良とメルヘンロック」「景夕と結良とメルヘンポップ」』が有観客/配信ライブとして行なわれた。サポートメンバーに刻(G)と宏崇(Dr)が参加。ここでは、第一部に当たる「景夕と結良とメルヘンロック」の模様をお伝えしよう。

TSUTAYA O-WESTの会場をサーカス小屋へ塗り替えるように、雄々しいマーチング演奏がSEとして鳴り響きだす。その音色へ引き寄せられるように、舞台へ姿を現したメンバーたち。「身体は動けないけど、心で動いていこう。さぁ、行こうか!!」、景夕の声を合図に最初に鳴らしたのが「LOAD MY HEART」。第一部を「メルヘンロック」と題したように、Kraは冒頭から激しく駆けだす楽曲をぶつけ、フロアを埋めつくした人たちの感情へ一気に熱を注ぎ込む。ブラスの音も華やかな演奏の上で、ときにシャウトも交えながら歌い叫ぶ景夕。観ている人たちを攻めるように歌う姿に触発され、気持ちが熱く騒ぎだす。この胸の高ぶり、抑えるなんて到底無理だ!!
刻のギターが激しい音色を掻き鳴らす。Kraが突きつけたのがエキセントリックでクレイジーなグルーヴを描き出す「ミセス」。観ている人たちを妖しく挑発するように歌う景夕、艶かしい歌声と狂気してゆく感情を交錯しながら歌う姿が刺激的。フロア中の人たちの視線が、その姿を熱く追いかけていたのも納得だ。

「みなさんのおかげでようやく二十歳を迎えました。これから活発に活動していこうと思っているこのライブで、さっそく衰えを感じています」という洒落の利いたMCが景夕らしいじゃない。結良も「気持ちとしては18歳」と語っていた。

それまでの熱した表情を塗り替えるように、ジャジーでメロウな「恋の色彩とエレジー」をKraは演奏。相手に振り回されゆく切ない恋心を、景夕が愛しい人へすがるように歌っていた。物語へ気持ちを溶け込ませ、悲劇に身を焦がす女性の心と同化し、嘆くように歌う景夕。次々と転調してゆく曲にも気持ちを重ね合わせ、ときに激情した想いをぶつけながら、景夕は悲劇のヒロインとなり歌の中へ溺れていった。
楽曲は、次々と色を塗り替えてゆく。惑いを覚える不思議な世界へ誘うように、景夕が「Schwarz wald」を妖しく歌いだす。妖艶な様を見せながらサビを歌うときの景夕の表情の、なんて艶(なまめ)かしかったことか。心を次第に乱してゆく景夕の歌声を、タイトでソリッドな演奏が支える。演奏が引き締まっているぶん、余計に景夕の歌声の妖しさが伝わってきた。
奈落へ堕ちてゆくようにヘヴィでダークな音が響きだした。景夕は、今にも壊れそうな気持ちを吐き出すように「逆想のイカロス」を歌唱。揺れ動く気持ちのままに。いや、心の痛みを掻きむしるよう激情し歌う景夕の姿を、会場中の誰もが食い入るように見つめていた。その姿に心が縛りつけられていた。

ここで、景夕の誕生日を祝うバースデーコーナーへ。ここでは、結良が景夕に靴をプレゼントしていた。

宏崇のドラムビートが強く鳴り響く。後半のブロックは、気持ちを騒がせる妖しくもメルヘンロックした「不思議な世界からの招待状」よりスタート。緩急を付けた演奏で高揚へ導くドラマを描きながら、観ている人たちの視線を釘付けにしてゆくメンバーたち。気持ちの熱を上げ続ける曲調のように、演奏に刺激を受け、フロアでも多くの手の花が頭上高く揺れていた。
結良の超絶スピーディなスラップベースが炸裂。心を妖しく騒がせる演奏を魅力に飛びだしたのが、「彷徨えど夜」。純粋ゆえに男にとって都合のよい存在に成り果てた女性の心模様を、景夕が、切ない恋とわかりながらも恋心を燃やす女性の心情となり、熱情した気持ちのままに歌っていた。消えない火を心に灯したままに歌い続ける景夕の姿に触発され、観ている側の気持ちも同じように奮い立つ。
「もっといこうか!!」。妖艶に跳ねたリズムの上で、甘く艶(なまめ)かしく、景夕が「空中ブランコ」を歌いだす。時代を遡るように、その空間を古のサーカス小屋へと塗り替えてゆく。昭和歌謡のようなレトロ感を持った曲調も心地好い。弾む妖艶な演奏を通し、Kraはこの空間をノスルジックな絵の具で華やかに染め上げていった。
とても妖しくも華やかなSHOW TIMEの始まりだ。Kraはジャジーでソウルフルなダンスロックナンバー「Cab.D」を通し魔性の香りを振りまき、騒ぎたい誘惑に溺れる観客たちの心や身体を華やかに彩ってゆく。演奏が進むごとに感情を高ぶらせ、触れた人たちの心をグイグイと惹きつけるメンバーたち。何時しか景夕は食らいつくような様で煽りながら、観ている人たちの視線やハートを釘付けにしていった。
最後にKraは「ショータイム」を突きつけ観客たちの頭を揺らし、熱狂へと連れ出した。その場から動けない環境とはいえ、大勢の人たちが頭を振り、手の花を咲かせ、煽る景夕の姿へ全力で気持ちをぶつけていた。声を出せない中でのやり取りだろうと心は何にも縛られないように、胸の奥で声を張り上げながら、Kraと会場中の人たちが気持ちを一つに熱を交わしあっていた。絶叫変わりに大きく手拍子をしながら、心の中で互いに乱れ狂っていた。

メルヘンロックというテーマに相応しい、意識や身体を狂喜に染め上げた熱いライブをしっかり味わえたのが嬉しかった。どんな制限下だろうと、心を縛ることは誰にも出来やしない。その自由を、Kraと一緒に勝ち取れた公演だった。

PHOTO: NORI
TEXT:長澤智典

★インフォメーション★

Kra Web
https://kra.tokyo/
Kra twitter
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景夕 twitter
https://twitter.com/kra_keiyu
結良 twitter
https://twitter.com/yuhra_grooving
PS mobile
https://artist-site.jp/psmobile/

■コロポックルPRESENTS景夕バースデイ企画
『景夕からアナタヘこの歌を届けよう』

<1部>「景夕と結良とメルヘンロック」
<2部>「景夕と結良とメルヘンポップ」
●2021年 2月26日(金) TSUTAYA O-WEST
[全出演] Kra { サポート:Gt.刻・Dr.宏崇 }
配信サイトURL:https://www.kips.fun/mall/event/1069
※アーカイヴ配信、購入視聴期限:2021年 3月03日(水)まで

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※販売期間: 2021年 3月26日(金)12:00まで

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※販売期間:2021年 3月12日(金)12:00~2021年 3月31日(水)18:00
※入会・継続は、コロポックル:https://fckra.emtg.jp/ よりお手続きください。

セットリスト
「LOAD MY HEART」
「ミセス」
「恋の色彩とエレジー」
「Schwarz wald」
「逆想のイカロス」
「不思議な世界からの招待状」
「彷徨えど夜」
「空中ブランコ」
「Cab.D」
「ショータイム」

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